迷子石の教材化

南極授業が授業であるために37

迷子石。。。

なんとミステリアスな名前だろう。

普通ならば
とてもあり得ないような場所に、
突然、
大きな石が姿を現すのだ。
それは文字通り、
石が「迷子」になってしまって、
そのまま置き去りにされてしまったようにも見える。

そんな「迷子石」と呼ばれるものが、
昭和基地には
たった一つ、
ではなく、
たくさんあるのだ。

南極って、
なんて不思議なところなんだろう。

こんどは、
この「迷子石」を
教材化してみたい。
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風の通り道を感じること

南極授業が授業であるために35

当たり前のことだが、
風車を風上に向けるとよく回る。
その向きがちょっとずれていると、
とたんによく回らなくなる。

そんなときは、
少しずつ向きを調節して、
一番よく回るところを見つけようとする。

そんなことを繰り返しているうちに、
あることに気づかされる。

風車が一番よく回る所は、
つまり、風が吹いてくる方向は、
いつも、ほとんど同じなのだ。

その風が吹いてくる先に目をやってみる。
すると
そこには南極大陸が広がっていた。
南極大陸から吹き下ろされてくる冷たい空気が
こちら昭和基地に流れ込んできているのだ。
いつも、いつも。
ある自然の法則にしたがって。

「風の通り道」というのがあるとすれば、
それはここなんだ、と感じた。

その風のことを
「カタバ風」
というのだが、
そんなことはどうでもいい。

「カタバ風」という言葉をまず知ることよりも
「そのことを(今、感じたそれを)カタバ風という」ってことの方が
大切なこと。

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もう一つの実験室

南極授業が授業であるために34

自分だけの屋外理科室は、
もうひとつあった。
それがここ。

この「屋外理科実験室」からは
昭和基地が一望できる。
基地を取り巻くリュツォフォルム湾が白く凍りつき、
太陽の日差しを跳ね返してキラキラ光っているのが見える。
地球の南の果てには、
こんな光景が待っていた。

この高台に登ってくるまでには、
慣れれば10分程度。
リュックに実験道具をつめてここまでやってきて、
そこで万が一、忘れ物に気づいたとしても、
なんとか取りに帰ろうと思える距離感。

軽い運動で体が温まってきているので、
実験中も寒さをさほど感じない。
むしろ、
朝になると常に吹いている南極特有の風が
心地よく感じる日さえある。

ここで、ミニ風力発電機を組み立ててみて
おもしろいことに気づく。”… 続きを読む...