夏休み体験発表会

今年も体験発表会を行った。

高学年は通例、夏の体験発表は「掲示」とすることが多いが、
作品は、どれもみんなの気持ちの入った大作ばかりなので、
わずかの時間だったが体験発表を行うこととした。

事前に、スピーチ原稿を書き上げておく。
(300〜400字という字数制限)
(3段落構成が基本形)
(スピーチという側面に配慮)

一人一人の研究はまさに十人十色で、
その成果はもとより、
どのように取り組んできたのかがとても気になった。
(調べた方法や見学先、実験装置の製作など)

研究のテーマだけでもご紹介しておく。

イースト菌について・ろ過水の作り方・泥水をきれいにする方法
歴史年表作り・肺の模型・太陽光発電・埼玉国際試合
部屋の片付け・元寇・生き物の生態系
富山大空襲・ビールが出来上がるまで・ビタミンCについて
水をきれいにする方法・酸性雨と地球温暖化・北京オリンピック
なぜ地震が起きるのか・マイふろしき作り・エコについて
草木染め・科学プラス食・宇宙食
月について・マヨネーズの失敗しない作り方・サッカーについて
画家クロード・モネについて・地域の地名調べ・私の料理作り
裁判員制度について・切り紙・水性ペンはもともと何色なのか
ファッションカラーについて・結晶作りの研究・マイ小物入れ作り
富山市の友好姉妹都市について・科学プラス食・日本の地図
薬の不思議

現在、廊下に展示中である。
(授業参観日まで展示します。当日、取りはずしてお持ち帰りください)
ささやかながら、以下の賞も出ているのでお楽しみに。
・地球の未来賞
・わくわく実験賞
・夏の話題賞
・実験モデル賞
・体験・感動賞
・歴史の旅賞
・生活大百科賞 など

連絡
宿題  :確認テストの勉強(社会・理科)
     夏休みの宿題(まだの人)
     (*夏休み関係のものをいつまでもひきずらないこと。
       2学期がんばるためにも、月曜日には提出物はきちんと出し終えましょう。)
      例:自由研究のB4用紙、読書カード、日記 など
持ち物 :月曜セット
     図工で必要なもの(お知らせ済み)を来週まで用意しておく
お知らせ:朝来た人から、陸上記録会の練習のため
     グラウンドに出ましょう。

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別世界(最終回)

まぶしいばかりの夕日に包まれながら
私たちは夕食をとった。
食堂の窓から斜めに差し込むオレンジ色の光線が、
卓上のごちそうをいっそう飾り立ててくれた。

みんなが夕食を終える頃には、
もう辺りは暗くなり始めていた。
同時にそれは、ドラマチックな天体ショーの
プロローグでもあった。

日没後の室堂は、
どこか無人の異星にやって来たのではないかと
思ってしまうほど静かだった。
ラッシュアワーの交通の騒音はもちろん、
虫たちのにぎやかな声も、
行き交う人々の会話も、ない。
遠くで、雪解けの水が谷間に流れ落ちていく音だけが響いている。

完全に日が沈むか沈まないうちに、
一足早く外に出て、この日の天体ショーの始まりを待つことにした。
星が、ひとつ、またひとつと輝き出す。
気が付けば、もう天を埋め尽くすような星である。

外から、子供たちの部屋の窓をノックした。
トントン、トントン
「え?だれ?」
「なんだ、先生か。。。」
「先生、何しとるん?そんなところで」
「ちょっと、外に出てこないか?」

しばらくして、数名の男子が駆けてきた。
そして、出てくるやいなや、
「うわあ、すげえ」
「ものすごくきれいな星だね」
「ね、あれ、北斗七星じゃない?」
「星って、こんなにいっぱいあったっけ?」
空を仰ぎながら、みんなが感動に包まれているのがわかった。

すると、今度は女子たちも出てきた。
「きれい〜」
「ね、天の川ってどれかなあ」
「あれなの?うそ!初めて見た〜!!」
「まるでプラネタリウムみたいじゃない?」
この星空を例えるとしたら「プラネタリウム」としかやはり言いようがなかった。

この日は、まず、
目の高さのやや上の方で大きく横たわる北斗七星を確認し、
そこから数えて(5倍して)北極星を確認し、
さらに反対側にカシオペアを確認し、

ちょうど天頂付近に夏の大三角を指でなぞって、
デネブ、ベガ、アルタイルという名前を思い出し、
はくちょう座が天の川を流れるように羽ばたいているのをはっきりと空に描き、

南に目を移してさそり座、アンタレスを見て、
ひときわ大きく、明るく光る木星(?)を。。。。

いやいや、もう、こんな美しい星の下では、
何が何星だとか、何座だとか
どうでもよくなってきてしまう。

地球は宇宙の中の一つとして存在していて、
そこに私たちがものすごい偶然で立っていて、
互いに、絆を深めて合っているという奇跡。
満天の星空の中で、
みんなとの出会いに恵まれたことに感謝した。

(おわり)… 続きを読む...

別世界(3)

澄んだ空気の向こうに
一の越が見える。
すぐそこにあるように見えて
なかなか届かない。
なかなか届かないようだけれど
一歩ずつ確実に近づいて行っている。
そんな感覚が、なんとなく楽しい。

それは、
何十ページもあったと思っていた問題集の残りが
あとわずかになっていくようであり、
毎日10円ずつこつこつ貯金してきた貯金箱の重さが
どんどん手応えを増していくようでもあり、
細かい部品ごとに組み立ててきたプラモデルが
一つ一つ結びついていって形が見えてきたときのようでもあり。。。

そんな思いにひたりながら休憩をしていると
すぐ横に素敵なおばあちゃんが腰を下ろされた。
その表情には、山歩きが楽しくてならない、
という思いにあふれていた。
私たちの、疲労度を示すメーターのような面持ちとは
大きく違う!
思わず「お元気ですね」と言葉が口に出てしまった。
(失礼なご挨拶になってしまったと今になって思う。)
そこから、しばし、会話がはずむ。

「元気ってことはありませんよ。もう80歳です」
「え!!」
(驚きで声にならない)

「毎年登っているんです」
「え!!」
(驚きでたたみかけられる)

「あちこちの山もずいぶん行きました」
「はあ。。。」
(ようやく少し落ち着いて話がきける)

「今日は、一の越までですか? 
 雄山の頂上までですか?」

「頂上まで行きますよ。
 ぜひ行きたいと思っているんですけどね。。。」

「私たちの若い時分は戦争でねえ。
 20歳で嫁いで、青春なんてなかった。
 今が青春みたいなものなんです。。。」

「でも、だんだん一緒に行く仲間も少なくなって、
 立山はこれで最後にしようと思って。。。」

あまりの健脚ぶりに
その言葉は、私にはご謙遜としか受け止められないのだが、
それよりも何よりも
山の途中で足を止めている自分たちに
いくつもの山(人生の山も)を極めてこられたその高見から
さわやかな風を注いでもらったような気がした。

心の底からエネルギーをもらったそんな休憩時間となった。

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