別世界(4)

心地よい休憩時間を過ごし、
再び、一の越目指して歩き出した。
子供たちの、会話も足取りも軽快である。

例年よりもやや多めだという積雪も、
互いに「ここ滑るよ」「ゆっくりね」と
声を掛け合って乗り越えていった。

そして、ほぼ予定通りに
一の越に到着した。

ここまでくると、
足の痛みを感じている子の姿や
標高差からくる頭痛や吐き気を感じている子の姿が見えてきた。
「姿が見えてきた」。。。というのは、
本当は足の具合が悪いのにがまんしている子がいたり、
人に悟られないように黙ってこらえている子がいたり、
ということである。
限界まで無理をするのは禁物だが、
簡単に弱音をはくようでも困るのである。
みんなの疲れた表情には、たくましさが感じられた。

広げた弁当を片付け、
まもなく、頂上を目指す。

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