別世界(5)

午後になっても快晴である。
一の越から山頂へは、
よりいっそう、
一歩一歩をいしっかり踏みしめて登ることになる。
足だけでなく、
両手も、大切な戦力になる。
軍手をはめて、
くつのひもを縛り直し、
両手・両足でしっかりと岩をつかみながら
注意深く進んでいった。

途中、後ろを振り返って下を見てみると、
あまりの高さに、
思わず背筋が寒くなる。
そこからの眺めを楽しむには、
ちょっと心の余裕が足りない。

そんな中でも聞こえてくる声は
「なんか、この方が楽しくなってきたな」
「すごい、こんなに登ってきたんだね」
「このまま一気に頂上までいきたいね」
など、威勢のよいものばかり。

そんなみんなのはやる気持ちを抑えながら
要所、要所で休憩をとる。
一粒の飴玉が、口の中でとろりととろける。
その一粒ですっかり疲れが取れる、というほどではないが、
心の緊張感は、確実にほぐれていくのがわかる。

登ったり、
声を掛け合ったり、
休憩したり、
飴をほおばったり、
そんなことを数回くりかえし、
「やったあ!!」
見事、登頂。
しかも、参加者全員がそれを果たしたのである。