水換え

先日、「久しぶり」に、
4の1水族館の水槽の水換えをした。

小型の水槽の数は、10以上。
その他に中型、大型の水槽もある。
みんなは、寒い中、
冷たい水に手を入れて、
そっと魚をすくい分けたり、
じゃりをじゃぶじゃぶ洗ったり、
かべの藻をこすり取ったり、
再び水を注いで、石や水草をセットしたりした。

作業を終えたころには、
みんなの手は真っ赤になっていた。

そうじをする前までは、
一見すると、そんなに汚れている様子ではなかったが、
洗ってみると、じゃりの間には、
けっこうごみがたまっていたようで、
そうじをすればするほど、
汚れが浮き出てくるようだった。
それは、
3学期の初め以来、約1ヶ月ぶりとなる
「久しぶり」の水槽のそうじだったせいもある。

実は、
この「久しぶり」というところに意味がある。
そもそも、この水槽は、
自然の環境が保たれるように
みんなが工夫して作ったバランスドアクアリウム。
冬休み明けに掃除をしてからこれまでのほぼ1ヶ月間、
水換えもしなければ、
エアレーションもしない、
えさもほとんどやらない、
という状態で魚が過ごしてこれたことは
みんなが作ったそれぞれの水槽の中では
微妙なバランスが保たれていた
と考えることができる。

さて、
次回の水換えはいつ頃になるだろうか。
おそらく、次回もほぼ1ヶ月後でいいだろう、
というわけにはいかない。
気温の上昇や、水温の変化、魚の成長ぶりなどから
みんなと一緒に総合的に考え、流動的に判断していきたい。…
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第2回アイスキャンディー実験

冬場の冷え込みを活かして、
自然の冷凍庫でアイスキャンディーを作ろうと、
ささやかな実験をした。

試験管を置く場所を
池の上、池の水の中、屋上、屋上の雪の中、などに変えたり、
水の量を
多め、半分、少し、などに変えたりして、
互いに比較しながら実験をした。

第1回目は、
ほとんどの班が失敗だった。
わずかに凍った班の条件は、
「屋上の雪の中、水は多め」だった。

失敗は、成功への最大の近道である。

あれから第2回目の実験をし、結果が出た。
多くの班の試験管が凍った。
試験管の中からアイスキャンディー状の氷をそおっと抜き出し、
その透き通った美しい氷をうれしそうに眺めた。

と、ここで、
みんなが成功してバンザイ、
で終わらないのが4の1のみんなのすごさである。

ある班の試験管(プラスチック製)にひびがはいった!
というのである。
氷が融けて、水がしたたり落ちてきて困っていた。
すかさず、
「凍るとかさが増える、と前の理科の時に実験したのと同じだ」
「ペットボトルを凍らせると膨らむから、それで割れたんだ」
と意見がつながった。
そして、
「凍るとすごい力が出るんだね」
「ただの水だったのが、凍るとプラスチックやガラスまで壊すんだ」
と自然のすごさや不思議さを感じていった。

また、ある班の試験管は、
上の方だけが凍っていて、先の方はまだ水のままだった。
それを見て、すかさず、
「水は上の方から凍るんだ」
「そうか、池の氷と同じだ。池も上が凍っているけど下は水だよね」
「順番に凍っていくんだね」
「それなら、ぼくは『つらら』だって同じだと思います」
水が凍っていく過程をよく想像して考えが膨らんでいった。

また、ある班では、あえて凍らないようにする?
という実験もしていた。
ただの水を入れた試験管と、
洗剤をまぜた試験管を作って、
その結果がどうなるのか楽しみにしていたという。
結果、洗剤を混ぜた方は凍らなかった。
アイスキャンディー実験としては失敗だが、
彼女たちにとっては密かな成功感を味わえた実験となった。
そのことに、ある子が言った。
「夏にオレンジジュースを凍らせたら、
 分離して、水の部分だけ凍って、オレンジのところは凍らなかった。
 それも、この実験と同じことかな」
「ああ、そうか。そういうこと、ぼくもあるよ」
「何かが混ざっていると凍りにくくなるということだ」
「でも、お母さんの車のウオッシャー液が凍って出なくなったよ」
「もっと洗剤を入れて、濃くしたらどうかな」

こうして、
第2回アイスキャンディー実験が終わった。

外に置いておいた試験管を取りに外に出た時、
子どもたちは、ある先生に出会って、
こんな会話をかわしていた。
「君たちは何をしているの?」
「自然の寒さでアイスキャンディーを作ろう実験です」
「アイスキャンディー実験?いいなあ。。。
 そんな実験とか言って遊んでいるだけじゃないのかい?」
「アハハハ」

もちろん、そこで出会った先生は
本心から「遊んでいるだけ」と言っているわけではない。

遊びと学び、
紙一重である。

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マダラカマドウマ

雪が降り積もった中庭の隅から、
クラスの子がそっと手にもってきた昆虫。

「先生〜、寒そうだったので捕まえてきました〜あ」
「なんて言う名前か、先生、知ってる?」
「それなら、ぼく、知ってる。。。
 家の床下とかによくいるって、
 前に読んだ図鑑に書いてあったような」
「よし、図書室で調べてこよう」
「よし、行こう」

雪の中でも、
こうしてたくましく春を待つ昆虫がいることを
子どもたちは、
いつ、
どんなきっかけで
学んでいくものなのだろう、と時々思ってはいたが、
この子たちにとってのそれが、
今日、まさに、こんなふうに訪れた。

「冬の生き物たちの様子」を知るきっかけやタイミングは
一人一人違っていて、
その時、その時が、
その子にとっての学びの時間や場だったりする。
そこには、学習の優劣や学習の法則など存在しない。
だからこそ、
クラス40人一人一人に、
違ったタイミングで、しかし、必ず訪れるその瞬間を
全部、その子たちと共有することができたなら、
この仕事のすばらしさが
また一つ増えるというもの。

だが、おそらく、
誰が、どんな時に
「冬の生き物たちの様子」を知るきっかけを得たのか、
などという調査や報告なんかは、これまで、ない。

どうでもよいと思われる調査や報告やアンケートや評価などに
一喜一憂しているくらいなら、
こんな調査をしてみた方がいくらかまし。

おっと、話を元に戻す。

その昆虫の名前は、
図鑑の写真や、生息環境などの状況から
「マダラカマドウマ」だということになった。
(専門家ではないので正確ではないかもしれないが)

名前がわかった子どもたちは、さて、次にどうするか。
しばらくすると、
空いていた虫かごに、石や草や土などを入れた。
雪のないときの中庭と同じ環境がそこに再現されていた。
2学期に「4の1水族館」で、
バランスドアクアリウムを作ったときのように。

これからの3学期。
ちょうど、4年生の理科には、
「冬の生き物たち」について学ぶ単元がある。…
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骨は生きている

この日、4の1では保健の研究授業が行われた。
自分の体の成長を学ぶ単元である。

通常は、
これまでの自分の身長の伸びのデータから、
伸びる時期は人によって違うことや、
これから伸びる時期に入っていくということを知り、
だから、これからは、
「栄養」「睡眠」「運動」のバランスを保っていくことが大切で、
ついては、
自分の生活では、どのようなことができそうか考えよう、
という流れとなる。

今回の最大の提案点は、
「栄養」「睡眠」「運動」が大切だということは
3年生の学習でだいたい分かっている子どもたちの思考を
どう揺り動かすか、という点にある。
そこで、保健のN先生が用意したのは
なんと「ウシの大腿骨」だった。

実際のウシの大腿骨は大きく太いため、
標本として観察するにはよい。
まず骨のまわりについた肉をそぎ落とし、
煮沸したり、タンパク質除去液につけたり、
を繰り返して、その標本が完成したという。

授業前に、完成した標本を見せてもらった。
すると、そこには、
小さな穴が不自然にあいているのが分かる。
聞くと、それは血管が通っていた穴だという。
骨にも血管がある?
そういえば、骨で血液が作られると聞いたことがある。
骨は、まさに生きているのである。

さらによく見ると、
割れ目のような筋が入っている。
聞くと、それは骨が作られ伸びるところ=軟骨の跡だという。
骨が作られて伸びる?
たしかに、あの一見無機質に見える骨だって成長するはずだ。
やっぱり、
骨は、まさに生きているのである。

そんなウシの大腿骨に魅き込まれてしまっているうちに、
「骨には骨芽細胞というのがあって、
 それを元気にすることが大切。
 「栄養」「睡眠」「運動」は
 この細胞を活発にするのです」
というN先生の言葉がストンと胸に落ちてきた。

さらに、
「骨には、破骨細胞という、
 骨をこわす細胞もあります。
 実は、これも元気にしないといけないのです」
とN先生。
「なぜ?骨をこわす細胞を元気にするの?」と尋ねると、
「それは。。。。」
と優しく教えてくださったが、
そのことも、大きな納得とともに心に収まっていった。

目の前のウシの大腿骨に釘付けになっていたのが、
いつのまにか、
自分の体の中の骨を思い浮かべている自分がいた。
そして、
この自分の骨は、
まさに生きているんだ、
この自分の骨を、
この自分が大きく育てていかなければならない、
そんな気持ちになっていた。

もしかしたら、
子どもの思考の流れも
そうなのかもしれない。

このような授業構想をもとに、
この日、4の1では保健の研究授業が行われた。
自分の体の成長を学ぶ単元である。
今回の最大の提案点は、
「栄養」「睡眠」「運動」が大切だということは
3年生の学習でだいたい分かっている子どもたちの思考を
どう揺り動かすか、という点にある。

保健のN先生が用意した「ウシの大腿骨」から、子どもたちは、
「骨が生きている」
ということを実感した。…
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雪合戦

雪が降って、
雪が積もれば、
雪だるま作りや
かまくら作りや
雪合戦が楽しい。

雪の中にもかかわらず
外で元気に長休みや昼休みを過ごして
教室に戻ってくる子どもたちの頭からは、
熱気と汗で
ゆげがのぼっていることもある。

もちろん、そんなときばかりではない。
楽しかった雪合戦のはずが、
いつのまにか、
何かのきっかけで、
けんかになっていくこともあるようだ。

自分ばっかり集中攻撃される。。。。。
至近距離から、しかも、力一杯当てられる。。。。
当てたら「逆ギレ」される。。。。
違う雪合戦グループが入り込んできて勝手に当ててくる。。。。

こうなったら、
すでに雪合戦の体をなしていない。
けんかになるのもうなづける。

うなづけないのは、
なぜ、もう当てられている子をさらにまた当てるのか、
なぜ、至近距離なのに力を加減しないのか、
なぜ、「当てる」のが雪合戦なのに当てられたら「キレ」るのか、
なぜ、他のグループの人を予告なく当てるのか、である。

雪合戦における、このような状況を
ただ「やめなさい」というだけが
私たちの仕事ではない。
そのような行動になる背景を洞察し、
そもそも何が原因なのかを探る努力が
私たちに科せられた課題であろう。
そこから、
改善策や指導法が見えてくるはず。

それにはいろいろあるだろうが、
その一つは、
「もっと雪合戦をやりましょう」
ということか。…
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