マダラカマドウマ

雪が降り積もった中庭の隅から、
クラスの子がそっと手にもってきた昆虫。

「先生〜、寒そうだったので捕まえてきました〜あ」
「なんて言う名前か、先生、知ってる?」
「それなら、ぼく、知ってる。。。
 家の床下とかによくいるって、
 前に読んだ図鑑に書いてあったような」
「よし、図書室で調べてこよう」
「よし、行こう」

雪の中でも、
こうしてたくましく春を待つ昆虫がいることを
子どもたちは、
いつ、
どんなきっかけで
学んでいくものなのだろう、と時々思ってはいたが、
この子たちにとってのそれが、
今日、まさに、こんなふうに訪れた。

「冬の生き物たちの様子」を知るきっかけやタイミングは
一人一人違っていて、
その時、その時が、
その子にとっての学びの時間や場だったりする。
そこには、学習の優劣や学習の法則など存在しない。
だからこそ、
クラス40人一人一人に、
違ったタイミングで、しかし、必ず訪れるその瞬間を
全部、その子たちと共有することができたなら、
この仕事のすばらしさが
また一つ増えるというもの。

だが、おそらく、
誰が、どんな時に
「冬の生き物たちの様子」を知るきっかけを得たのか、
などという調査や報告なんかは、これまで、ない。

どうでもよいと思われる調査や報告やアンケートや評価などに
一喜一憂しているくらいなら、
こんな調査をしてみた方がいくらかまし。

おっと、話を元に戻す。

その昆虫の名前は、
図鑑の写真や、生息環境などの状況から
「マダラカマドウマ」だということになった。
(専門家ではないので正確ではないかもしれないが)

名前がわかった子どもたちは、さて、次にどうするか。
しばらくすると、
空いていた虫かごに、石や草や土などを入れた。
雪のないときの中庭と同じ環境がそこに再現されていた。
2学期に「4の1水族館」で、
バランスドアクアリウムを作ったときのように。

これからの3学期。
ちょうど、4年生の理科には、
「冬の生き物たち」について学ぶ単元がある。