第2回アイスキャンディー実験

冬場の冷え込みを活かして、
自然の冷凍庫でアイスキャンディーを作ろうと、
ささやかな実験をした。

試験管を置く場所を
池の上、池の水の中、屋上、屋上の雪の中、などに変えたり、
水の量を
多め、半分、少し、などに変えたりして、
互いに比較しながら実験をした。

第1回目は、
ほとんどの班が失敗だった。
わずかに凍った班の条件は、
「屋上の雪の中、水は多め」だった。

失敗は、成功への最大の近道である。

あれから第2回目の実験をし、結果が出た。
多くの班の試験管が凍った。
試験管の中からアイスキャンディー状の氷をそおっと抜き出し、
その透き通った美しい氷をうれしそうに眺めた。

と、ここで、
みんなが成功してバンザイ、
で終わらないのが4の1のみんなのすごさである。

ある班の試験管(プラスチック製)にひびがはいった!
というのである。
氷が融けて、水がしたたり落ちてきて困っていた。
すかさず、
「凍るとかさが増える、と前の理科の時に実験したのと同じだ」
「ペットボトルを凍らせると膨らむから、それで割れたんだ」
と意見がつながった。
そして、
「凍るとすごい力が出るんだね」
「ただの水だったのが、凍るとプラスチックやガラスまで壊すんだ」
と自然のすごさや不思議さを感じていった。

また、ある班の試験管は、
上の方だけが凍っていて、先の方はまだ水のままだった。
それを見て、すかさず、
「水は上の方から凍るんだ」
「そうか、池の氷と同じだ。池も上が凍っているけど下は水だよね」
「順番に凍っていくんだね」
「それなら、ぼくは『つらら』だって同じだと思います」
水が凍っていく過程をよく想像して考えが膨らんでいった。

また、ある班では、あえて凍らないようにする?
という実験もしていた。
ただの水を入れた試験管と、
洗剤をまぜた試験管を作って、
その結果がどうなるのか楽しみにしていたという。
結果、洗剤を混ぜた方は凍らなかった。
アイスキャンディー実験としては失敗だが、
彼女たちにとっては密かな成功感を味わえた実験となった。
そのことに、ある子が言った。
「夏にオレンジジュースを凍らせたら、
 分離して、水の部分だけ凍って、オレンジのところは凍らなかった。
 それも、この実験と同じことかな」
「ああ、そうか。そういうこと、ぼくもあるよ」
「何かが混ざっていると凍りにくくなるということだ」
「でも、お母さんの車のウオッシャー液が凍って出なくなったよ」
「もっと洗剤を入れて、濃くしたらどうかな」

こうして、
第2回アイスキャンディー実験が終わった。

外に置いておいた試験管を取りに外に出た時、
子どもたちは、ある先生に出会って、
こんな会話をかわしていた。
「君たちは何をしているの?」
「自然の寒さでアイスキャンディーを作ろう実験です」
「アイスキャンディー実験?いいなあ。。。
 そんな実験とか言って遊んでいるだけじゃないのかい?」
「アハハハ」

もちろん、そこで出会った先生は
本心から「遊んでいるだけ」と言っているわけではない。

遊びと学び、
紙一重である。