南極授業
第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの61回目。
(写真は54次隊のときのもの)
2月に入った。
第54次越冬隊のみなさんは
昭和基地での長い越冬生活に別れを告げ
少しずつしらせに帰還しているころだと思う。
何はともあれ、
みなさまの任務の完遂と、
無事に大役を果たされたことに
大きな敬意の念が沸いてくる。
ただ、南極授業は
ここからが本番を迎える時期でもある。
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授業はその日、その時だけで創り上げられるわけではない。
まず、当然のことだが、授業者は授業を練り上げる。
これは孤独な作業である。
自分と向き合い、
子供の思考と向き合い、
そして、南極そのものと向き合う。
そうして、素材が教材になる瞬間が訪れるのを待つ。
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自分の中に授業が描かれると、
今度はそれを、授業クルーの仲間たちと共有する。
綿密な打ち合わせによって、
授業の意図や流れや雰囲気みたいなものを
互いに理解していくのである。
それぞれの持ち場では
確認作業のリハーサルが何度も繰り返される。
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リハーサルは、予定されている時間のほかに
こうして夕食後に自主的に集まって行われることもある。
光の当たり具合やモニターの視認性などをチェックし、
不具合があれば、いろんなアイデアで解決を試みる。
授業クルーは、ここに集まっているメンバーの他に、
屋内にもスタジオクルーがいて、そちらも
カメラワークやスイッチングの確認に余念がない。
一つの授業は、
膨大な時間の積み重ねと
数多くのメンバーのあくなき向上心の
総体の上になりたっているのだが、
そういう中で授業を創り上げることができる幸せを
私はここでかみしめていた。”
