ペンギンの足型

 11月12日、南極観測船しらせが東京晴海から出航した、というニュースがありました。とは言え、第59次観測隊の本体は11月末にオーストラリアから乗船します。今次隊は、南極氷床の新たな掘削点の選定を目指しているそうです。これまで掘り下げてきた地点では約72万年前の氷の採取に成功したそうですが、新しい掘削点では、欧州隊が掘削した約80万年前の氷よりも古い氷に到達することを狙っているのかも知れません。

 
  左 文科省ホームページより

その他、ペンギンなどの生物調査も行われるそう。右の写真は、54次隊で採取してきたペンギンの足跡です。

 今回は、この足形から凹型を作成してみました。これでペンギンの足型を大量に複製することができます。そして、大量に複製した足型を、今後は子どもたちの教材としたいと考えているのです。

 足跡をよく見ると、指先にすっと伸びた部分があります。これは爪です。この爪に気付いた時、なぜ海中を泳ぐことの多いペンギンにこんな立派な爪が必要なのかという問いが生まれるでしょう。実は、昭和基地近くのルッカリーではアデリーペンギンたちが餌を求めて傾斜30°を超えるような急斜面を必死に登っていくのです。それが餌場までの最短距離だということを知っているようなのです。立派な爪は、過酷な自然条件の中を生き抜くための一つになっているのではないかと感じました。実際の足跡に触れたり作ったりする授業の時間が、動物たちの体の特徴や生きる知恵などについて私たちが謙虚になって学ぶ時間となれば幸いです。