地球規模で考える理科 N中学校での南極授業

 昨年に引き続き、N中学校での南極授業の第2回。南極授業は単発的なことが多い中、御校ではありがたいことに続編を組んでくださいました。

 第2回、第3回となっていくことの最もよいことは、その内容が定番のペンギンコンテンツだけでなく、ちょっと踏み込んだ部分にも触れることができるようになるということです。今回は「地球温暖化」と「富山の自然」という2つの切り口でコンテンツを構成しました。

 まず「地球温暖化」についてですが、そもそも「南極は温暖化しているか」という問いかけが大事だと思っています。当たり前のように思えることにも、本当はどうなのかな?と問いをもつことができることが尊いことだと思うのです。

 子どものもつ素朴概念からみると、きっと、南極の温暖化は YES! なのでしょう。雪国富山でも近年は雪の少ない年が多くなってきていますし、温暖な国のスコールのような異常気象も見られるようになってきましたから、そう考えるのも無理はありません。ただ、一口に南極といっても南極半島と内陸部とがありますから、答えはそう単純ではなさそうです。「実際はどうなのかな」、「事実を詳しく調べなければいけないな」などと科学的な検証を試みようとする心の動きが、いわゆる科学的な見方・考え方であり、理科で育てたい資質や能力ということになるのだと思います。観測隊員たちは、地道にそのデータを継続的に蓄積しているのです。

 次に「富山の自然と南極」ですが、ここにもまず子どもの素朴概念が働きます。南極と富山は遠く離れている、見える景色だってきっと違っているはずだ、というように。この思考の道筋をむしろ生かして、心をゆさぶる映像や資料を準備しておきます。例えば、冒頭の2枚の写真は、左がみくりが池に映る逆さの立山、右がリュツォフォルム湾に映った逆さのシェッゲ(400m)ですが、どこか親しみを感じます。その他、地元芦峅寺の登山研究所で南極観測隊員が訓練をしているという映像などなど。

 南極授業は、今はまだカリキュラム外の課外授業でしかありませ。でも、理科で育てたい子ども像を描いたとき、将来、地球規模で学ぶことが出来る教材や学びの場が、理科の時間の中でも積極的にとりあげられる日が来ることと思います。