不便なくらいがちょうどいい
第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの67回目。
(写真は54次隊のときのもの)
第54次越冬隊と第55次夏隊をのせたしらせは、
無事、定着氷域を脱したようだ。
今、現在、隊員たちがしらせに乗って進んでいるということは、
インターネットを使える状況にないということである。
あるのは、ほそぼそとしたメール回線のみ。
頻繁に更新されていた夏隊員たちのサイトは
しばらくお休みしているはず。
その分を少しでも補う、というわけではないが、
もう少し、昭和基地での行動をバーチャル同行していきたい。
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前回は、昭和基地の管理棟の個室を訪れたが、
こちらは、昭和基地の第一夏宿の部屋。
部屋といっても、4つのベッドが上下左右に並んでいるだけで
扉があるわけではない。
個人的に使用できるのはもっぱら
自分が寝転がることができるベッドスペース。
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その上にパソコンを広げて仕事をしたり、
足下には身の回りのものを詰め込んだバックをおいておいたり、
横には上着を掛けたりしておくのだ。
コンセントの数にも限りがあるので、
配線を工夫して、それなりに使いやすくしながら過ごす。
この狭さは、私にとってはとても快適な空間だった。
というのも、すぐ隣のベッドの隊員は、
私がよく同行させてもらっていたチームのリーダーで
いわば南極のベテラン隊員だったのだ。
わからないことは聞けばだいたいすぐに応えてもらえたし、
落ち着いた物腰はそれだけで安心感を与えてくれた。
この狭い空間が好きだったのは、
おそらくそのおかげだと思っている。
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洗濯物は、こうしてかけておくと
一晩ですっかり乾いてしまう。
節水のため、原則、洗濯機は4日分ためてから使用し、
その他は、すべてお風呂場で手洗いする、という毎日。
昭和基地での生活は、地球の環境を考える生活。
不便なくらいがちょうどいい、ということに、ここで気づいた。
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