トラブル発生
第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの47回目。
(写真は54次隊のときのもの)
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破損したパネルは、無事、安全に取り外された。
一方、新しいパネルを取り付けるための下準備も整った。
あとは、元の枠組みに戻すだけだった。
作業工程も確認済み。
天候も申し分ない。
完成は目前だった。
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さっそく、枠組みに取り付ける作業に入った。
と、ここである問題が発覚した。
枠組みとパネルのサイズが微妙に違うのだ。
上下を入れ替えても、左右を反対にしても、
もう1枚の方を当てはめてみても、どうしてみても、
ぴったりと収まらず、ビスと穴の位置がずれてしまうのだ。
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すぐに、道具箱の中のあらゆる道具を取り出し
懸命に修復を試みた。
ドリルを借りて新たな穴を開けようと、
一旦山を下って、別の場所にいる隊員の所まで行ったりもした。
それで何とか1つは穴を開けられたが、
材質に合う刃ではなかったのでかなりの時間を要した。
穴は全部で20〜30カ所もあったので、
この方法では無理だということは誰の目にも明らかだった。
私たちの作業ペースは一気に下がった。
だが、あきらめるわけにはいかなかった。
気がつけば、もう夕食の時間になってしまっていた。
その時、一人のベテラン隊員が
こちらの山に向かって登ってくるのが見えた。
なかなか山を降りてこない私たちを心配して、
トラブルの様子を詳しく見に来てくれたのだ。
ベテラン隊員にこれまでの経緯を伝えた。
すると、しばらく考えた後、
あるアイデアを提案した。
それは、これまでにないアイデアだった。
よし、それならなんとかなるかもしれない、
みんながそう思った。
しかし、その隊員はこう続けた。
「とにかく今は、一旦山を降りようや。
このまま作業を続けるのは得策じゃない。
ひとまず山を降りて夕飯を食べてこようじゃないか。
あとでまた登ってこればいいよ。
こんどはみんなもいる。」
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