公式発表

第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの28回目。
(写真は54次隊のときのもの)

やはりそうだった。

先日、第55次隊が昭和基地入りしたという公式発表があった。
54次隊より5日も早い12月14日に第1便が飛び、
その後、17日までの間に隊員たちが続々と昭和基地入りしたそう。

しらせは、その間、海氷上に停泊し、
まず、隊員たちの移動や優先順位の高い物資の輸送を行った。
そして、18日から再び、昭和基地の接岸を目指して
最後のひとふんばりをしているところ。
残り、あと約20kmほどらしい。
がんばれ、しらせ!


隊員たちが昭和入りを果たす日、
隊員たちは、自分たちが乗る便に合わせてしらせの飛行甲板に集まる。
この時、昭和に持ち込める荷物は、
自分の体重と荷物を合わせて100kgまで、という制限がある。
私は、防寒具と実験道具各種は、野外機材に混ぜてもらうことにし、
パソコン3台とハードディスク3台、カメラ、着替え3組程度のみを昭和に持ち込んだ。


ヘリの中は、さすが軍用機という殺風景なもの。
隊員も荷物もみんないっしょだ。
昭和基地まで数分間のフライトだが、
眼下に広がる凍てつく海は、まさに地球の果てという様相があった。
しばらくして昭和基地が見えてくると、機内では大きな歓声があがった。
聞こえるはずもないのだが、つい「おーい」と叫んでしまうのだ。


着陸と同時に、40kg程度の荷物を担いで基地に降り立つ。
そこには、真っ黒に日焼けした53次の越冬隊員たちが
笑顔で並んでくれていた。
忙しい作業の中で手作りしてくれた横断幕に、みんな心が熱くなった。
前次隊から連続で昭和基地にやってきた隊員は、
久々の再会を喜び抱き合っていた。


基地に降り立った隊員たちは、第一夏宿(一夏)と第二夏宿(二夏)に分かれて生活する。
私は二夏の住人となったのだが、その二夏とはこれだ。
水道はなく、ポリタンクで運んだ水を湯沸かし器に入れて飲む。
トイレはなく、屋外に設置された仮設トイレが3つならんでいる。
部屋は2人部屋で、2段ベッド以外に1〜1.5畳ほどのスペースがある。
ただ10畳ほどのサロン(?)があって、ここでの夜なべ談義がこの上なく楽しい。


昭和基地ではどこでもそうだが、玄関をきれいに保つため、
入り口では長靴を洗ってから入るのがルール。
この水は凍っていることが多く、
気がついた人が近くの水路から水をくんできてはつぎ足していた。
その他、ポリタンクの水運びやゴミ収集、し尿回収などは
毎日、当番を決めて行っている。


こちらは、一夏だ。
ここには水道やトイレはもちろん、おふろや食堂などが整っていて、
3度の食事やミーティングはすべてこちらで行う。
前には広場があって、毎朝、ここでラジオ体操と朝の作業確認が行われる。
夏作業で使うトラックもここに集結していて、
機械隊員が入念に整備しながら、大切に使っている。


今回、最後の一枚。
基地に降り立った隊員はみな、この景色を目の当たりにすることだろう。
着陸したヘリポートから、
一夏〜昭和基地管理棟(昭和基地の本体)方面を眺めた光景だ。
ある隊員は、どこかの惑星にやってきたみたいだな、と言った。
またある隊員は、どこかの工事現場だな、と言った。
私は、そのどちらもありだな、とうなづきつつ、
心の中では、仮面ライダーとかウルトラマンの特撮現場のようだ、と思っていた。

さあ、これからが本当の観測隊の出番だ。

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