昭和基地初日

第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの29回目。
(写真は54次隊のときのもの)

昭和基地に到着すると同時に、
すぐに隊行動が始まる。

まずは、食料を一夏の裏手にある保存庫へ運び込む作業だ。
肉、野菜、缶詰などの段ボールをトラックの荷台に積み込む隊員。
そのトラックの荷受けをして保存庫までバケツリレーで運ぶ隊員。
その指揮をとるのは、調理隊員の2名だ。
単純な肉体労働だったが、
調理隊員たちの威勢のいいかけごえと的確な指示のおかげで
俄然元気が出てきた。

作業が一段落すると、こんどは、機材や物資の確認作業に移る。
ヘリポートに下ろされた荷物には、
それぞれ昭和基地内の行き先がラベリングされていて、
これは、○○の観測棟へ、これは、△△の倉庫へ、という指示が書かれている。
時折、”配達先”が間違っていたり、変更されたりしているので確認が必要だ。

この倉庫には、主に野外観測で用いる機材が持ち込まれていた。
とても小さな音を感知するインフラサウンド計とか、
南極の地図を作るための測地の道具とか、
各種機材に電源を供給する発電機やバッテリーとか、
それらを設置する間、寝泊まりするテントや食料などなど。
どれも必要かつ最小限のもので、大切なものばかりなのだ。

その一方で、
これからの生活の拠点となる
一夏の立ち上げも急ピッチで行う。
一夏の玄関には、隊員たちのヘルメットや
防寒具をかけるフックが人数分ある。
作業を終えた隊員たちは、ここで長靴脱ぎ、
上着を脱いで食道へと向かうのが日課となる。


昭和基地での初めての昼食は、しらせから運んできたお弁当。
住む場所から自分たちで整えていくのだから、
食事ではなくお弁当なのは当たり前のことだが、
それでも普通に食事にありつけるということが、
とてもありがたいことだと思えた。
缶コーヒーは、昭和基地では貴重品だということを、あとで知ることになる。


こちらは、厨房を稼働し始めようとしているところ。
水、湯沸かし器、冷凍庫などの使い方を確認し、
鍋や食器を取り出すなど、すべきことは山のようにあった。
とりあえず、その日の夕食づくりに
さっそく取りかからなければならないということは言うまでもない。
だが、そこはプロの調理人、それをあっというまにこなしてしまった。


ここは、一夏のおふろ。
一日の疲れをここで洗い流す。
一度に入れるのはふつう4人まで(湯船は2人)で、
混み合う時間帯になると、脱衣所前に列ができる。
ここでは、靴下や下着、Tシャツなどを手洗いで洗濯する。
洗濯板を持参してきている隊員もいた。


トイレは、一応、ウオッシュレット付き、暖房便座。
よく排水が詰まることがあるので、
そんなときは「使用禁止」の張り札が出る。
気温が下がる日は、あらかじめ凍結対策をするのだが、
それでも凍りついてしまった日には、
環境保全や機械隊員たちが献身的に対処に当たってくれていた。


作業が一段落したところで、
ベテラン隊員による「昭和基地案内」が行われた。
二夏、一夏、気象棟、管理棟、トラックの給油場所、
海氷の状況の説明、基地内の除雪作業の進捗状況の説明など。
昭和基地の全貌が少しずつではあるがみえてきたように思った。

ただ、昭和基地の本丸である「管理棟」にはまだ足を踏み入れることができなかった。
それよりも前に、
私たち夏隊には、まだまだ、やるべきことがたくさんあった。

きっと、55次隊のみなさんも、今頃はとても慌ただしい毎日だろう。

そんな中でも、
昭和基地ではネット環境もある程度整っているので、
そろそろ、55次隊のみなさんからの
リアルタイムな情報のアップも出てくるに違いない。
楽しみだ。

そうなると、
このバーチャル同行シリーズの役目も半分は終わるかな。