第一便への特別な思い

第55次隊の南極観測活動に合わせた
バーチャル同行シリーズの26回目。
(写真は54次隊のときのもの)

第54次隊では、1年前の今日が、
観測隊の隊長が昭和基地入りを果たした日だった。

しらせが昭和基地に接岸するその一足先に、
しらせに搭載されているヘリで
昭和基地に入るのがならわしとなっている。

そのヘリは「第1便」と呼ばれている。
その前日の夜のミーティングで、
「明日、第1便を飛ばします」
と発表があるのだ。
みんな、それを聞くのをずっと楽しみにしていたはずなのに、
いざ、その言葉を耳にすると、
なんだか、ちょっと寂しい気もした。

「続く、2便には○○が、3便には○○が搭乗する。
 各自、準備をしっかりしておくように。
 それ以外は、あさって以降、順次、昭和に向かう。」
自分が昭和基地に向かうのは2日目だということだった。
そうだ、あれこれ考えている暇はない、
これまで準備してきたことをしっかりと進めるだけだ、
そんな決意がこみあげてくる。

ミーティングのあと、それぞれが部屋に戻る。
でも、なんだか落ち着かない。
先に出発する隊員たちとしばらくお別れの握手を交わし、
互いの健闘を祈る光景があちこちにあった。
同室のH隊員は、最初の便で、
昭和基地ではなく、野外の観測ポイントへ飛ぶことになった。
今度会えるのは、野外行動が完了してからのことになる。

ここまでは、しらせから見た第一便の光景。

あとからわかったのだが、この第一便を、
昭和基地側では特別な思いで待っている人たちがいる。
今なら、第54次隊で越冬している隊員たちだ。
夏隊が2月に昭和基地を離れてから約10ヶ月間、
わずか約30名で基地を守り抜いている。
彼らは、家族からの手紙や、新鮮な野菜を届けてくれる第一便を
どんな思いで迎え入れるのだろうか。