南極大学復路(vol.135)

今、南極大学が開講している。
毎回が一流の講師陣の特別講義なので会場はぎっしりと埋まる。
そんな南極大学は往路では「しらせ大学」という名で開講していたが、
復路2日目の南極大学で、考えさせられる話題があったのでご紹介。

まず、このタイトルがいい。
「昨年の昭和基地は、寒かったのか、あたたかかったのか」
(越冬隊の方が講師だったので、昨年=2012年2月〜2013年1月までのこと)
この謎めいた問いから講義はスタートする。

講義では、次々と気象データの事実が紹介されていく。
気温の推移のグラフだったり、
この寒さは歴代〜位というランキングだったり、
実際の写真だったり、
見ていても飽きないような工夫がちりばめられている。
例えば、
5月(南極では秋)にー40℃以下を記録(5月としては19年ぶり)。
9月(南極では冬)にー43℃を記録(史上2位)。
そうかと思えば、1月(南極では夏)の平均気温が+0.8℃(史上2位)。
しかも12月22日の雨は9年ぶり、史上3回目。

この事実の比較だけでも、
「寒かったのか、あたたかかったのか」がますます謎めいてくる。
しかも、気温の高低差の52.5℃は、なんと史上1位だときた。

地球温暖化が叫ばれている昨今、
気温が上昇していることだけで「温暖化」とは言えない。
「温暖化」の影響は、むしろ地球の一部では降雪量の増加として現れたり、
海水温の低下として現れたりするという。
昭和基地における、この気温の高低差の拡大もそのひとつなのだろうか?
今後の南極の観測から、ますます目が離せない。