あれは夢ではなかったのか(3)(vol.123)

もしかすると、
あれは夢だったのか。。。
つい、そう思ってしまいそうな光景がいくつかある。
それらを書き留めていくシリーズの3回目。
(3)峠を越えるペンギン

その日、M隊員が突然こんなすてきな提案をした。
「本当にそのルートをたどっているのか、実際にぼくらも歩いてみよう」
科学者はロマンチストだと思うことがあるが、このM隊員もやはりそうだった。

M隊員はペンギンチームの研究者の一人で、
ペンギンの足跡をGPSでとらえ、そのデータを地図に落とし込んでいた。
すると、興味深いことがいくつか見えてきた。例えば、
•ルッカリーのある入り江とはまた別の入り江まで遠出をしていること
•同じルートをほぼ間違えずに繰り返し利用していること
•目的地までほぼ直線(最短距離)で移動していること
•できるだけ高低差の少ない谷間を通っていること など
実際に足跡をたどってみると
ペンギンの移動ルートは、まさに「山あり谷あり」だった。

こんな厳しい場所に直面しても一心に目的地を目指すペンギンの
あの小さな体がとてつもなく偉大に見えたあの日。
もしかすると、
あれは夢だったのか。。。”