アザラシのミイラ(vol.87)

スカーレン大池での滞在2日目。
大陸から氷河が海に流れ込んでいるのが
真正面に見える浜まででかける。

徒歩約1時間、そのポイントに到着。
そこは内湾になっていて、
海の向こう側に、陸続きの大陸が見える。
その圧倒的な光景に息を飲む。

ふと足下に目をやると、
そこには1頭のアザラシがいた。
と言っても、ほぼミイラ化したアザラシだ。
ただ、アザラシの体はほぼ完全な形で残っていて、
しかも、仰向けになって横たわっていたので、
今にも動き出しそうな、そんな気配もあった。

こんな姿で残ってしまうのは、
南極の低温と乾燥、
そして分解者である生物たちがきわめて少ないことによるものだと思われる。

南極の悠久とした時の流れのなかで、
自然と一体化しているアザラシの姿をみて
神々しささえ感じてしまうのはなぜだろうか。

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