大気をつかまえる(vol.74)

上空30kmの大気をつかまえて、とじこめて、切り離して、回収する。
こんなとてつもないプロジェクトが先日実行された。

この日に向けてスタッフたちは、
国内にいるうちから作業手順を確認する実施訓練を積み、
こちらに来てからは機材をチェックし、
天候の条件が整うのを待った。

いよいよ様々な条件が整って実験することが決まった。
スタッフの緊張感がこちらにも伝わってきた。
チームリーダーの穏やかな目が、みんなを冷静にさせた。
準備に約90分が過ぎる。
いよいよ大きな気球がふくらみ、TAKE OFF。
気球はどんどん上昇していった。

と、ここまでは全行程の10%ほどにしか過ぎない。
なぜなら、大切なのはこの気球ではなく、
その下に取り付けられた気体回収装置の方だからだ。
この装置は、目的の高度まで達すると、
一瞬のうちに周囲の気体をサンプリングしたり、
液体窒素で閉じこめてしまったりすることができるという。

と、ここまでが全行程の50%ほどだろうか。
今度は、その容器を本体から切り離して落下させなければならないのだ。
最後はヘリコプターでそれを捜索して場所を見つけ出し、回収するという計画だ。

素人目には、それはまるで、
広い広いゴルフ場で小さなボールを1個みつけるようなものだと思ってしまいそうなのだが、
そうことを南極昭和基地では真剣にやっているのだ。

この観測実験は2回行われ、なんと、2個とも回収に成功した。
綿密な計画と正確な予測には脱帽。