外出注意令(vol.69)

南極昭和気象台の予報的中。
瞬間最大風速は35mを超えた。

強風の到来は歓迎できないが、
それを2〜3日前から予報し、
見事的中させる気象チームはさすが。

彼らによれば、
強風のピークはまだ先のようで、
今から約6〜7時間後の真夜中が
もっとも警戒が必要な時間帯だという。

早速、越冬隊長の指揮のもと
朝の人員点呼、集団での移動、各作業へのKY意識の強化などが指示された。
一方、各隊員は
それを緊張感と切実感をもって受け止め、責任ある行動に努めた。

もっとも、窓の外の様子を見ただけで、
これが普通でないことはすぐにわかった。
私は学生のころはスキー部のはしくれで、
スキー場の頂上で吹雪かれ、
冷たい空気の痛みを感じながら何時間も練習した口だが、
ここ南極でも、自然の猛威を改めて実感した。
自然に逆らってはならないのだ。

どっしり構えていても風にあおられて足下がぐらついたり、
風上に正面向いて歩けないというのは
おそらくこれが初めてのことだと思う。

越冬経験者によれば、冬のブリザードの場合は、
この強風に加え、低温、積雪、視界の悪さも加わって
たいへんなことになるという。

今も、窓の外から、
ゴーゴー、ぴゅーぴゅーという音が聞こえる。
それはまるで、
氷の大陸を這いつくばうように流れてきた地球の息づかい。
この音が、
私が体験した2つ目の「南極の音」となった。

(1つ目の「南極の音」はアーカイブス12月15日(vol.55)を参照)