中ダン(vol.9)

6月の夏訓でのあるお話が
このかわいらしい図柄の入った
JAREご用達の段ボールを前にして
よみがえる。

しらせに積む込む段ボールの種類は3種類あり、
それぞれ、
大段ボール、中段ボール、小段ボールと呼ばれている。
私物のほとんどは、
この内の「中ダン」サイズに梱包されて
しらせに積み込まれる。

今日は、その梱包作業。
夏隊は中ダン5箱、というのが目安となっている。

実際、5箱のうち、3個までは
専用の防寒具やヘルメット、長靴、作業着、
シュラフ、マット、コッフェルなどの野外活動のための装備などで、
結構、埋まってしまう。

残りのこの中ダン2箱が、
南極の夏を過ごすための私物のスペースとなるのだが、
着替えの数はもとより、
備えておく薬は何が必要かとか、
読む本は何にしようかとか、
ミニ実験道具はどこまで持って行こうかとか、
悩ましいところ。

ただ、何でも少なくすればよい、というものでもない。
少ないスペースではあるが、
スペア、というのも必要だったりする。
めがねとか、長靴の中敷きとか。。。

そんな細かいことを。。。
とついつい思ってしまうのだが、
実は、この考え方は、
不測の部分が多くなってしまう観測隊にとっては重要な意味がある。

観測隊では、毎年、ヘリコプターが大活躍するのだが、
このヘリコプターも2台、というのが原則らしい。
ヘリコプターは、
物資の輸送はもちろん、
観測拠点までの人員の輸送、
上空からのルート探査や測量などなどに活用される。

もしも、それが1機だったら、
それはすなわち、ほぼ0機しかない、ということに等しいのだという。

なぜなら、
1機で、100キロメートル先まで人や物を運んだとする。
そこで、部品の故障など不測の事態が起きたとしたら
だれもそこへ迎えに行けないのである。
そんなリスクがあるのがわかっていて、
行くわけには当然いかないので、
1機のヘリコプターがあっても結局は使わないことになる。

一方、
ヘリが2機あるならば、
普段はそれぞれに別のオペレーションをしていつつ、
いざというときには、
救助にもいける、というわけである。

「スペア」を確保しておくというのは、
常にあらゆる事態を念頭に入れて行動する
観測隊の意識の表れでもある。

さて、この中ダン2箱に、
その意識を
どこまで入れ込むことができたろうか。