ランニングのペース(vol.4)

夏訓練では、
天気さえ良ければ
毎朝ランニングがある。

UP&DOWNが激しいためか、
標高が高いためか、
日頃の運動不足のためか、
実際に走っている距離のわりには
結構息があがる。

学生時代の部活動で
山道を走っていた記憶が
否が応でもよみがえる。

一方、
他の隊員たちのペースは軽快そのもの。
その強者ぶりは噂に違わぬものだった。

それもそのはず。

UP&DOWNの激しさと言えば、
「しらせ」もそうだ。
南下しながら暴風圏を通過する「しらせ」の揺れは、
「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」と称されるほど厳しいらしい。
それが、長い間、
人類が南極に立ち入ることを拒んできたほどだ。

また、標高が高いと言えば、
氷床コアの掘削などに携わる隊員たちは、
昭和基地から1000kmも離れたドームふじ基地という所に数ヶ月間滞在するが、
そこは、なんと標高約3800m。
つまり、富士山よりも高いのである。

さらに、日頃の運動不足と言えば、
夏の昭和基地での活動は
むしろ、その真逆で、
毎日、筋肉痛との戦いとなるほど、
体をはった作業が続くという。

他の隊員たちのランニングペースには、
驚かされるのであるが、
同時に
納得させられてしまうのである。

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