5の1編 3粒という条件制御

再び、5年理科「種子の発芽」の学習でのこと。

本単元は、
どの種子も、
ある条件が整えさえすれば、
一気に命を躍動させることができる、
その神秘に子どもたちが触れる学習である、
とは、前回に述べた通り。

と、同時に、
「条件制御」という科学的な手続きについて学ぶのが
本単元のもう一つの側面でもある。
ただ、それは、
どちらかと言えば定型的で習得的な時間になりがちで、
確かに大事なことの一つではあるが、
創造的で科学の魅力を味わうことができる授業の中心には
なりえない。

ーーーーーーーーーーーーーーーと思っていた。

それが、
今日の5の1のみんなとの授業によって
見直さざるを得なくなってきた。

前回の授業で、子どもたちは、
固くて芽を出しそうもない種子が、
水を与えられただけで、
みるみるうちに大きくなり、
あちこちにしわが刻まれ、
まさに命を吹き返したように動き出す種子を
目の前で見て感動していた。
その時間の最後に、
「大賀はす」のことを紹介し、
その余韻に浸った。

そして、今日。
いよいよ、発芽の条件について実験していく日。
「水」「空気」「温度」(その他「栄養」「土」など)について、
調べたい条件だけを変えて、
それ以外の条件はそろえて実験をしていく、という日。

授業者は、前回の授業を思い出しながら、
「大賀博士は、3つのうちの1つの種子の発芽に成功したのでした。
 みなさんも、大賀博士のように、これから発芽をさせましょう。」
と投げかけた。

すると子どもたちは、さかんに、
「日光に当てた方がいいのでは」
「栄養もやったほうがいいよ」
「空気もいるよね」
「土はいらないのかな」
と「発芽の条件」を次々と挙げていった。

ここで、ふつう、授業者は
「では、みんなが挙げたこれらの条件を一つ一つ確かめていこう。
 確かめたい条件以外は変えずに。。。。」
というところである。

ところが、この一言を切り出したのは、
なんと5の1の子どもたちだった。

「先生、大賀博士は、3粒とも同じように育てたのかな」
「きっと3つ別々の条件にして、その中の1つが発芽したのではないかな」
「全部同じにしたら、3粒とも失敗する可能性もあるよ」
「だから、ぼくたちもそうしようよ、一つ一つ条件を変えて。」

5の1の子どもたちは
大賀博士が抱いたと思われる太古と科学へのロマンを、
確かに感じとっていたようだった。
そして、
これから取り組むことになる実験とその結果について
わくわくしていたようだった。

そんな子どもたちの姿と発言を目の当たりにしたとき、
「条件制御」という、
どちらかと言えば定型的で習得的な時間になりがちな学習でも、
極めて創造的で科学の魅力に満ちた時間に
なりえるのではないか、と思った。

もしかしたら、
子どもたちにとって本当に大切なのは、
「水」「空気」「温度」という条件などではなく、
むしろ、
「たった3粒しかない」という条件の方なのかもしれない。