親切の輪

ある子が筆箱を忘れてきた。
(こういうことは誰にでもある。)
「先生、筆箱を忘れたので、鉛筆を貸してください。」

その声が聞こえたのか、
まず、斜め向かいの子が
「それなら、わたしの鉛筆使って。ちょっと短いけど。」
と差し出した。

ほぼ同時に、ずっと離れたところに座っていた子が
「ぼくの貸してあげる。使って。」
と身を乗り出してきた。

その声に触発されるように
「じゃ、この消しゴムもいいよ。ぼく2つ持ってるから。」
「この鉛筆も。。。」
「じゃ、これも。。。」

次々と親切の輪が広がっていった。
その子の机の上は、
あっという間に文房具でいっぱいになった。

こんなわずか数秒の出来事が、
担任の心の中でぐるぐると響き渡った一日。