5年前

5年前に作った理科の教材がある。
4年「もののかさと温度」の学習の教材である。

この単元では、
空気のかさは、温度が高いと大きくなり、
温度が下がると小さくなることを学ぶ。
水も同様。
ただし、その変化の大きさは、
空気に比べて小さい。

この現象を教科書では、
試験管の口の石けんの膜が膨らむことや
フラスコの栓が飛び出すことなどによって示している。
水の場合は、
ガラス管の中のインクやゼリーが
上昇したり下降したりすることによって示している。

子どもが扱う「もの」は、
試験管になったり、
フラスコになったり、
ガラス管になったり、と、
そのときそのときで追究が分断されてしまうことが気になっていた。
また、
試験管はともかく、
他の道具は40人一人一人に行き渡るものではなく、
どうしてもグループ学習にならざるを得なかった。
さらに、
試験管、フラスコ、ガラス管などは、
破損の危険も伴った。

5年前、
ある飲料水の瓶(130ml程度)が目に留まった。
それを50本集めた。
始めからついていたスクリューキャップは使い捨てだが、
ちょうどペットボトルのふたが再利用できた。
ペットボトルのふたにドリルで3.5mmの穴をあけ、
そこに外径3mmの金属製のパイプを20mmの長さに切って差し込んだ。
すきまから空気がもれないように、
外径4mmのゴム管をパッキンがわりにした。
こうすると、ちょうど、ペットボトルキャップの独楽のような形になる。
あとは、その上部にプラスチック製の細い管を取り付け、
その下部(瓶の内側になる部分)にはゴム管を取り付けると完成。
まあ、ここまでは、いろいろな部品を試したが、
プロトタイプができさえすれば、
あとは同じ作業を繰り返して大量生産すればいい。

こうして、
瓶の中を空にして温めたり冷やしたりすれば空気のかさの変化を、
瓶の中に水を満たして温めたり冷やしたりすれば水のかさの変化を、
追究していく「教材」ができた。
子どもにとっては、
いつも同じ装置で、
同じ追究の道筋で、
40人が一人一実験で、
比較的安全に、
追究できるようになった。

その教材を5年ぶりに取り出して使っている。
破損したり、劣化したり、欠品したりしている部分もあったが
そこはもともと手作り製品、
修理はすぐにできる。

実際に授業をしてみると、
驚いたことに、
子どもたちの生き生きとした反応は、
あのときと一緒だった。

それは、この教材がいい、といいたいのではない。
子どもはいつの時代も変わらない、ということをいいたいのである。
事象に十分に触れたり、
よく観察したり、
何度も繰り返し試したりして、
自分の見方や考え方が瞬時に更新されていくことに
何よりも喜びを感じる存在なのである。

生まれて初めて、を体験する子どもたちの様々な機会を
どうプロデュースしていくか、
まだまだ学ばなければならないことが多い。
学校でも、家庭でも、地域社会でも。