青空実験室

朝から、日差しがまぶしい。
今日の理科の時間は、
予定通り「光実験」ができるだろうと楽しみにしていた。
しかし、
秋の空は、移り変わりも早いともいう。
予定を繰り上げて、
早々に行う。

今日の主な学習活動は鏡1枚と2枚との比較。
どちらがどれだけ温まるだろうか、という課題である。

なんの変哲もない課題だが、
その背景には、
3の1みんなで楽しみにしている
ある計画がある。

さて、実験の予想だが、
1枚より2枚の方が温度が上がるだろう、
ということはもちろんだが、
そのとき、
子どものイメージができあがっていくことが大切な過程。
子どもたちは、
光が集まる
光が重なる
光が集中すると温める力が出る
などと語っていた。
教師は、それに合わせて板書をしていくだけ。

途中、
集まったり、重なったりする様子を表す「光くん」が登場すると、
「あ、あの時の、力くんと同じだ」
とイメージがつながっていく。
あの時とは、
そう、「風やゴムのはたらき」の学習のこと。

どちらも、
エネルギーという科学の基礎的な概念だ。

こうした場を経て、
いよいよ(ようやく?)屋上へ。
それぞれに鏡を手にして、
2枚実験、3枚実験へと取り組んでいく。
(1枚と2枚の比較、と授業の入り口では限定するが、
 それが、自然と、「だったら3枚では?4枚では?」
 と動き出すのが子どもの追究の道というもの)
中には、
みんなで協力して鏡を出し合って6枚実験をする子たちや、
黒い紙や黒い服に包んで温度を上げようと発展していく子たちもいた。

温度は、目に見えて上昇していった。
それでも、子どもたちは満足しない。
なぜか?
その背景には、
3の1みんなで楽しみにしている
ある計画がある。

もっと温度を上げたいと願った子どもたちは、
ついに、
「虫めがねをください!」と言い出した。

こうして、1時間で終わる予定の理科の学習は、
2時間続きとなった。

虫めがねを手にした子どもたちは、
視線も、指先も、
光の焦点に集中させていた。
屋上では、話し声はほとんど聞こえず、
ただ、手首や指先がわずかに動いているだけだった。