リベンジ

朝から陽が差し込んできた。
今日は、前回の算数のリベンジとなった。

2回目ともなると
さすがにみんな手際がよい。
メジャーと分度器片手に、
お目当ての「高い物」を目がけて外に出た。

国旗掲揚塔、体育館、イチョウの木などなど。
子供たちは、「今日は影が長いな〜」と驚いていた。

今日の、この時間のお日様の入射角は23度。
同じ轍を踏むわけにはいかないので、
まずは、45度にならないことを確認した。

ん?なぜ、23度だとわかったのかって?
そう、そこが今日の話題のメインなのである。

教室に戻り、さっそくノートワークに取り組んだ。
計算の仕方も、
作図の仕方も、
前回とは比べものにならないほど
(というとちょっと大げさだが)
素早くなっていた。
縮図を描く意味が、
比で表す意味が、
腑に落ちて理解できていたに違いない。

そのうち、こんな姿が現れた。
影の長さだけでなく実寸も測ることができたグループの子たちが、
影の長さと、実際の高さから、その縮図を作図して、
そこから正確な角度を割り出していたのである。
(直角三角形の垂直な2辺をもとに、斜辺を描いて、角度を出す)
こうすれば、
他の国旗掲揚塔も、体育館も、イチョウの木も
みんな23度で計算すれば誤差が小さくなる、というのである。

それまで、
正確な数値が出ない最大の原因は目測による「角度」である、
と感じていたみんなは、
この23度をすぐに取り入れて作図・計算をし直した。
このことがみんなに提案されたことで、
より多くの子が「比」や「縮図」の有用性を実感できたように思う。

「リベンジ」だったこの1時間の生命線はここにあった。
ただ単に前時間にできなかったことを復讐(復習)することでなく、
一見復習めいたことから、
子供たちが新たな価値までも
(逆に、高さから角度を求めること)
(それを他の事象に当てはめることなど)
生み出した尊い姿がそれだった。

こういうことができるのは、
実は「ゆとり」教育の神髄だった。
その「ゆとり」教育が見直され、
来年度からは内容も盛りだくさんになって満足げな方々も多くなるのだろうか。
「ゆとり」が「ゆるみ」になっていたという批正は受け止めなければならないが、
「ゆとり」の目指していた真意を
子供の具体の姿で語ることはもっと許されてもよかったろうとも思う。
今となっては、この「ゆとり」のリベンジは無理なのだろうけれど。

授業終了間際になって、
さらに大きな学びのシーンが待っていた。

みんなで22mの影をもつ塔の縮図を描いていたとき、
22cm、11cm、5.5cmと多様な縮図がノートにできてあがろうとしていた。
その時の数名のつぶやくような会話が以下。
「ぼくは、それなら5.5cmにしよう。一番簡単そうだし」
「でも、それだけ、誤差、でかくなるぞ」
「あ、そうか。じゃ、やっぱり面倒でも11cmだね。」

縮図の比を大きくするほど数は小さくなってよいとする素朴概念に、
ノート上に作図した1mmの誤差も同時に100倍、200倍、400倍。。。。
になっていってしまうという新たな見方が持ち込まれたのである。
ここでは、子供たち自らが
矛盾を導き出していたのである。
「学び」が成立する瞬間である。

同時にそこで、
自分だったら縮尺をいくつにするかな。。。。と振り返り、
自己選択・自己決定していたのである。
ここにも主体的な「学び」の姿を見たように思うのである。

「ゆとり」が「ゆるみ」だとした根拠の裏付けは「学力の数値化」でできるかもしれないが、
「ゆとり」が「充実」だとする根拠の裏付けは「子供の具体の姿」ででしかできない。

連絡
宿題  :パワーアップ(算数)
     算数プリント
     *実は、このプリントは、今日、小3のクラスで
      自習プリントとして使用されていたものです。
持ち物 :Bか2Bの鉛筆1本、ポケットティッシュ1個、新聞紙2〜3枚
     *以上は、2月16日(月)の授業で使います。
      その日までに学校に持ってきておきましょう。
お知らせ:附属中からのおたより袋を配布しました。要確認
     学校アンケート結果を配布しました。
     学習参観、清掃奉仕、地域別保護者会、学級懇談会