別世界(2)

バスは室堂に到着した。
目の前には雄々しい山肌の大パノラマ。

天気は快晴。
その上、風もなく、視界良好。
照りつける真っ白い日差しに
ひんやりとした空気が心地よい。

宿に荷物を預けるため、
室堂平周辺を横切って歩く。
一の越、雄山山頂がくっきりと見える。
歩きながら、つい立ち止まり
体を360°回転させてみたくなる。
目に飛び込んでくる全てのものに
何度も言葉を失いながら、
本当に、
こんな世界が広がっている所があるのだと
自分に言い聞かせている。

荷物を預け、いよいよ、出発。
一列になって山頂を目指した。
途中、すれ違う登山者と
「こんにちは」
「こんにちは」
と交わすあいさつが元気をくれた。
雪渓にさしかかると、
気持ちを引き締め、
足元に集中して踏みしめて歩いた。
ちょろちょろと
雪解け水が流れているのを見つけると、
しゃがんで手を伸ばした。

そして、休憩地点。
笑顔が広がる。
水筒を取り出し、
飴をほおばり、
汗をふく。
次第に、別世界にとけ込んでいく自分たちがいた。

(つづく)