あれは夢ではなかったのか(20)(vol.147)

もしかすると、
あれは夢だったのか。。。
つい、そう思ってしまいそうな光景がいくつかある。
それらを書き留めていくシリーズの20回目。
(20)宿帳

ややセピア色になった、どこか存在感のある一冊の帳面。
ラングホブデ袋浦にある雪鳥沢観測小屋にずっと備えられてきた宿帳だ。
20年以上も前からこの宿を訪れてきた南極観測隊員たちの
ここで見た自然の様子や、その時の感動、ここに来るまでの決意などが
それぞれの筆致でいきいきと刻まれていた。

不思議なことに、そこに書いてある事実は、
まさに今自分が見ている自然の光景そのものであり、
そこから彼らが感じている感動というのもまた、
まさに今自分が味わっているものそのものだった。

ずっとかわらない自然の中に建つここ雪鳥沢観測小屋の宿帳に、
おそらくこれからもずっとかわらないであろう感動を記したあの光景。

もしかすると、
あれは夢ではなかったのか。。。”