ホタルイカ

入学式で学校が華やかになる朝、
2の1では、もうひとつのにぎわいがあった。
富山湾の春の風物詩のひとつ、ホタルイカが届けられたのだ。

聞くと、家族で夜の海にでかけ、
神秘的に光るホタルイカをとってきたという。
その感動をみんなと分かち合おうと
保冷剤でつつんで大切にもってきたようだった。
登校してくるまで、さぞ、わくわくしてきたことだろう。

案の定、2の1は大歓声に包まれた。
そして、そこから、しばしホタルイカ談義が展開された。
ホタルイカはねホタルみたいに光るんだよ。
魚津とか滑川でとれるんだよ。
ぼく、食べたことがあるよ。

みんなの席に順々に回っていくホタルイカを
みんなは食い入るように観察した。
普段、食卓の上やスーパーの陳列棚で見かけているはずなのに、
教室という空間で見るそれは、
全く新鮮な光りを放っているから不思議である。

学校で友達ともに学び合うということには、
ときどき、そんな見えない力が働くことがある。
国語でも、算数でも、図工でも、音楽でも。。。

そんな、学校で学ぶことの意味を再確認した入学式の朝、
すぐ隣の教室では、
新1年生たちがこれからの小学校生活に夢と希望を膨らませていた。