民族資料館見学

社会科「古い道具と昔のくらし」の学習では、
単に、いろいろある古い道具を学ぶわけじゃない。
そうではないのだが、
その一環として、
午後から、民俗資料館へ見学に出かけた。
資料館には古い道具が所狭しと並んでいた。

子どもたちが足を止めたものは多種多様で、
いろりやたんすだったり、
冷蔵庫やミシンだったり、
ランプやアイロンだったり、
そろばんやものさしだったり、
その他、
当時の農機具や、
こたつなどの暖房器具などだったりした。

興味を引きつけるものの魅力がすごいのか、
興味のアンテナを張っているみんながすごいのか、
見学の態度は真剣そのものだった。

資料館は当時の民家を再現したものだった。
一歩足を踏み入れると、
残暑厳しい日中だというのに、
ひんやりとした空気が気持ちいい。
目に映る調度品は、どれも、
当時の人々のくらしのにおいがしていた。
しばらくそこにたたずんでいただけだったのに、
なんだか、
タイムマシンにのって
昭和の時代にタイムスリップしてしまったような錯覚になった。
そして、自分がまだ幼い頃の、
豆炭炬燵に足を忍ばせて暖をとっていた家族の姿や
田植えや稲刈りの手伝いに出ていた時の光景などが
目の前に浮かんでは消えていった。
祖父母に迷惑をかけたできごとや
兄弟喧嘩のことなど、
これまで何十年、これっぽっちも思い出した事のないような事まで
一気に押し寄せてきたような気がして、
鼻の奥の方がツンとした。

そのうちに、
壁にかけてあった振り子時計がボーン、ボーンと鳴った。
そういえば、
家に2台あった振り子時計のゼンマイをまく仕事は自分だった。
そのままでは時計に手が届かないので、
椅子をもってきてその上にのり、
時計の扉をあけて、その横につけてあるネジをとり、
穴にさしこんでぐるぐる回す。
途中、手がしびれてくるので反対の手に持ち替えたりした。
穴は二つあった。
長い針用のネジと短い針用のネジだと思っていたが、本当はどうか。
無事、ネジを巻き終えると、
針を正しい時刻に合わせてからふたをしめ、
最後は、時計が傾いていないか確かめる。
いすを降りてちょっと離れて眺めてみて、
振り子の動きが左右対称になっていれば、作業終了だった。

あれから、時は、どのくらい過ぎたのだろうか。
それから、生活は、どうなってきたのだろうか。
これから、自分は、何を考えていくのだろうか。

古い道具が語るもの。
その声に耳を傾けるのが、
社会科「古い道具と昔のくらし」の学習なのだろうと思う。