涙のリクエスト

今日は、体育のティーボール大会の
実質の最終戦。
そのせいもあってか、
みんなのボルテージは最高潮に。
勝敗が決する微妙なプレーに、
みんなが熱くならないはずがなかった。

そして、あちこちで
「涙のリクエスト」となってしまった。。。

一つは、
打球が担任に当たり、
そのせいで、1・2塁間でタッチアウトになった場面。

その打球は、あきらかにランニングHR性の当たりだったのに、
バッターは、アウトとなり、泣く泣くベンチに。
その姿をみたみんなは、
その「涙のリクエスト」を汲んで
あの「やり直しルール」を適用した。
ある意味では、友情や思いやりの発揮だった。

ところが、
「やり直し」後のプレーにより、
大量点が追加された。
すると今度は、
さっきの「やり直し」そのものを「やり直し」すべきだ、
という「涙のリクエスト」をし始めたのだ。

どちらにも言い分があり、
両方の「涙のリクエスト」に応えたいと誰もが思った。

同時に、
もう一方のコートでもある事件が勃発していた。

それは、
ホームに戻ってきた逆転のランナーが、
ホームベースを踏んでいなかったのではないか、という
相手チームからの「涙のリクエスト」だった。

ランナーの当事者は、もちろん「踏んだ」という。
また、仲間の選手たちも
「これまでは、ベースを踏まなくても
 その位置に達したらセーフでよかったじゃないか」と主張しながら
「涙のリクエスト」をし始めた。

やはり、どちらにも言い分があり、
両方の「涙のリクエスト」に応えたいと誰もが思った。

そのうち、
誰かが一方的に責められることに耐えられない!と、
友の痛みを我が身の痛みとして涙を流す子たちも出てきた。

こういうときの特効薬というのはない。
あるとすれば、
一人一人の思いを収めてやることくらいだ、
ということは、かつて、みんなに教えてもらったこと。
給食前にその場を設ける。
一人一人が様々な思いを話し
一人一人がそれらを真剣に聞きあう内に、
みんなの表情が軽くなっていくのがわかり、
ほっとする。
黒板は、今日も、
みんなの見た事実とみんなが抱いた思いとでぎっしりと埋まる。

授業後、
ある子がポツリと話してくれた。
「先生、自分って、すごく悪い人のように思う。
 だって、自分のことしか考えてなくて、
 相手のチームの人が悪いってばかり思ってたから。
 でも、みんなは、相手のチームの人のことも考えていた。
 自分が不利になってもいいっていう人までいた。
 自分って、すごく悪いよ。」

担任は、それに返す言葉が見つからなかった。
この子は、あの時、
担任に、どんな返答を
リクエストしていたのだろうか。