なんと22個!

じしゃくに付く物は「鉄」。
このことを納得して知にしていったみんな。

そのことは、
棒磁石でもU型磁石でも丸形磁石でも同じだった。
最初に手渡した数種類の磁石たちとのかかわりにより
子どもたち自らが自分の認識としていく。

数種類の磁石がある、
数種類の磁石に触れあう、
という場があるということは、
単に「楽しい」ということだけではない。
(単に。。。と書いたが、
 実はこの「楽しく」感じることや、
 脳に「快」という刺激であること自体が、
 子どもの主体性が発揮される点では、
 実はとても大切なこと。)

その過程では、
「磁石に付くものは磁石」
という発想もある。
当然、
「磁石に付かないものも磁石である」
という発想もつながって出てくる。
これらは、磁極を見つけていく視点となることはいうまでもない。
さらには、
ドーナツ型磁石にもN極やS極があるの?
という素朴だが、かなり本質的な問いも生まれていく。

こうして、学習のステージは、磁石の磁極へと移っていく。
そうして、ドーナツ型磁石にも磁極はあるのか?
という、わかりそうでわからない疑念がふくらんだ。

それを解決するための方法は以下だった。
1、棒磁石を近づけてみる。
 (Nに引きつけれた方がS)
2、方位磁針を近づけてみる。
 (弱い磁力にも反応する)
* 方位磁針は南北を向いて止まる、ということを
 ここで習う必要がある。
3、水の上に浮かべたり糸に下げたりして
 自由に動けるようにして確かめる。
4、棒にさして、重ねてみる。
 (吸引、反発はわかるが、
  NSまではわからないという欠点がある)

子どもたちは、それぞれの方法で確かめた。
4つ全部の方法で確かめるぞ、と意気込む子もいた。

やがて、どの方法でもドーナツ型磁石のN極、S極を見つけ出し、
やっぱりどんな磁石にもN極、S極があるのだね、
ということを身につけていった。

話はそれるが、
磁石にN極、S極があります、ということを理解させるだけなら、
15分もあれば、
しっかり教えて、しっかり覚えさせることはたやすいことである。
それを、なぜ、多くの小学校教員はしないのか。
端から見ればかなり不可解な景色かもしれない。

さて、話を戻す。
今日は、先の4つのそれぞれの実験結果を考察し、
そこから目に見えない磁力について推論を進める時間。
NくんがSくんを呼んでいる。
SくんもNくんの方へ向かおうとしている。
Nくんが近づくと、磁力くんが空気中に飛び出していく。
などなど、豊かなイメージとともに
事実を解釈していくみんな。
(このイメージ論にも、多くの異論があるところだが、
 よりどころとなる事実や試行活動に伴って行われるイメージ形成は
 科学的にかなり重要と思う)

その中で、4つめの棒にさす方法に立ち止まった。
「互いに反発して、くっつかないことはわかった。
 でも、数を増やせば、いつかはつくのかな。」
という思いがそこにはあった。
「いつかは付くよ」
「NとNが付くわけないよ」
「いや、わからないよ」
ここにも、わかっていそうで曖昧なことが潜んでいた。
だから、子どもたちは知りたくなる。

さっそく、大型モニターに実験装置を映し出し、
ひとつの事象をくいいるように見つめた。

1個目。。。。まだまだ1cmくらいの隙間がある。
2個目。。。。ほとんど変わらない。
3個目。。。。これも楽々持ち上げている。
       おお〜という声も大きくなる。
4個目。。。。先生、みんなの磁石を集めてきます!
       もっとできそうだという予感。。。
5個目。。。。
6個目。。。。
7個目。。。。
8個目。。。。徐々に間が狭まってくる。
9個目。。。。
10個目。。。。
11個目。。。。レンズを隙間と水平にしてアップする。
       こういう時は実物よりインパクトがある。
12個目。。。。
13個目。。。。
14個目。。。。
15個目。。。。アップしたわずかな隙間から、
       向こうの景色が見えると、
      「まだまだ浮いている、浮いている!」の声。
16個目。。。。
17個目。。。。
18個目。。。。キャー ワー ウヒョ〜
       もう、ほとんど歓声にかわってきている。
19個目。。。。
20個目。。。。
21個目。。。。
22個目。。。。ついに、向こう側が見えなくなった。
       あ〜あ、というため息と同時に、
       「磁力くんって、すごい力なんだね。」
       「自分の22倍の体重を支えているのだね。」
       というつぶやきがあちこちで聞こえる。

       「でも、NとNがくっついたわけじゃないよ。」
       「重さでつぶされただけだね。」
       「ほら、なんとかして離れようとして、横にずれていたよ。」

授業の空気は、時に、独特のものにかわることがある。

わずか1mmにも満たない隙間を、
「まだまだ 浮いているよ」と言わしめたり、
いつもは何とも思わない横ずれを、
「なんとか離れようとしていた」という見えになってきたりする。
こんな空気は15分ではできあがらないし、
共に学ぶ仲間がいなければできあがらないだろう。

端から見れば、
1mmの隙間をみんなで覗き込んで大声をあげている光景は
かなり不可解だったかもしれない。