金環日食の実力

金環日食の観察会。
早朝にもかかわらず、校舎の屋上には、
たくさんの子ども達が集まってくれた。

手にはそれぞれ太陽グラスをもち、
手作りのピンホールをしのばせ、
記録シートや図鑑を携えてくる子もいた。

観察会が始まると、
みんなは思い思いに
スケッチを取ったり、
鏡で反射させたり、
気温を測ったり、
クラッカーのピンホールで投影したり、
友達と太陽グラスを交換し合ったりしながら楽しんだ。
(種類によって、オレンジ色や白色や緑色など、見え方が違う!)

いよいよ最大食になると、
O先生がセッティングしてくれたネット中継のスクリーンには
金環日食の瞬間も映し出され、
みんなは、
目の前の天体ショーと、
世紀の金環日食と、
その両方を満喫した。

この間、
刻一刻と変化していく太陽と、
不思議な雰囲気になっていく周囲の様子は、
私たちのわくわく感をずっと駆り立ててくれた。

こうして観察会が無事、終わった。
1億5000万kmという広い宇宙空間の中で起こったドラマの余韻だけが残った。

それにしても、
やっぱり自然の力はすごい!と思った。

日食の下では、
誰一人としてけんかする子などいなかった。
たいくつそうにしている子も、
落ち着きなく騒ぎ出す子も、
道具を取り合う子も、いなかった。

日食の下では、
みんなが心から楽しそうで、
みんながとびっきり目を輝かせていて、
みんなが手を取り合っていて
みんなが平和で、
みんなが謙虚で、
みんなが自然だった。

これが、金環日食の実力か。

数十年にたった一度だけれど、
たった数分間の出来事だったけれど、
それで終わったわけではなく
それを目にした子ども達が
これから先に築き上げていく未来に、
きっと、
そっと、
ずっと、
影響を与え続けていくものと信じている。

それが、金環日食の実力。