記憶をたどって

いよいよ本格的な夏の到来か、と感じた日。
実家に寄ったついでに、近くの神社に向かった。
小学生の頃、よくクワガタを探した場所の一つだ。
その境内の中に、必ずクワガタを見つけることができる
クヌギの木があった。
時には、カブトムシもいた。
今でも、見つけられるだろうか。

神社についた。
記憶をたどりながら、周囲の木を眺める。
しかし、そこにあったはずのクヌギの木は、
切り株だけをかろうじて残して、伐採されてしまっていた。
神社との位置関係からみても、その切り株がそれであることは間違いない。

残念に思いながらも、
棒切れを手にその根元を掘り始めた。
別にクワガタがほしいわけじゃなかった。
何だか、記憶の中の小学生の自分と話しているようだった。

3つ目の穴を掘りはじめて間もなく、
大きな幼虫と遭遇した。
カブトムシの幼虫だ。
突然の光に驚いたように体をくねらせ、
頭をまた地面の中にもぐらせていく。
30年ぶり?の再体験に
なつかしい友にであったような気がした。

今はもう幹のないクヌギの木の
その切り株のそばを離れがたい思いに包まれた
夏、到来の日。