頂上につくと、
そこは、まさに「別世界」だった。
涼しく乾いた風が肌にやさしい。
360°のパノラマの視界が普段の遠近感覚を寄せ付けない。
自然の優しさと厳しさとは、相反するものではなく、
厳しいが故に、優しさにあふれていられるのだと感じることができた。
あふれてくる感情は、
止まることはなかった。
みんなの心の中には、
どんな思いがこみ上げてきたのだろうか。
きっと、
自分らしい、自分だけの言葉で、
その思いが語られたに違いない。
表現力とはそういう心の問題でもある。
ふと、横をみると、
なんと、あの時のおばあちゃんが登ってこられるではないか。
おばあちゃんは、あと数歩で山頂というところでも
一歩一歩、ていねいな足取りでおられた。
そして間もなく、登頂。
やれやれといったような表情で一息ついておられた。
私は遠くから、軽く会釈をし、登頂をお祝いした。
私は、
みんなと一緒に登頂できた感動と、
もう一つの感動とを
ダブルでかみしめることができた。
涼しく乾いた風が、やはり心地よかった。… 続きを読む...
午後になっても快晴である。
一の越から山頂へは、
よりいっそう、
一歩一歩をいしっかり踏みしめて登ることになる。
足だけでなく、
両手も、大切な戦力になる。
軍手をはめて、
くつのひもを縛り直し、
両手・両足でしっかりと岩をつかみながら
注意深く進んでいった。
途中、後ろを振り返って下を見てみると、
あまりの高さに、
思わず背筋が寒くなる。
そこからの眺めを楽しむには、
ちょっと心の余裕が足りない。
そんな中でも聞こえてくる声は
「なんか、この方が楽しくなってきたな」
「すごい、こんなに登ってきたんだね」
「このまま一気に頂上までいきたいね」
など、威勢のよいものばかり。
そんなみんなのはやる気持ちを抑えながら
要所、要所で休憩をとる。
一粒の飴玉が、口の中でとろりととろける。
その一粒ですっかり疲れが取れる、というほどではないが、
心の緊張感は、確実にほぐれていくのがわかる。
登ったり、
声を掛け合ったり、
休憩したり、
飴をほおばったり、
そんなことを数回くりかえし、
「やったあ!!」
見事、登頂。
しかも、参加者全員がそれを果たしたのである。
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心地よい休憩時間を過ごし、
再び、一の越目指して歩き出した。
子供たちの、会話も足取りも軽快である。
例年よりもやや多めだという積雪も、
互いに「ここ滑るよ」「ゆっくりね」と
声を掛け合って乗り越えていった。
そして、ほぼ予定通りに
一の越に到着した。
ここまでくると、
足の痛みを感じている子の姿や
標高差からくる頭痛や吐き気を感じている子の姿が見えてきた。
「姿が見えてきた」。。。というのは、
本当は足の具合が悪いのにがまんしている子がいたり、
人に悟られないように黙ってこらえている子がいたり、
ということである。
限界まで無理をするのは禁物だが、
簡単に弱音をはくようでも困るのである。
みんなの疲れた表情には、たくましさが感じられた。
広げた弁当を片付け、
まもなく、頂上を目指す。
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澄んだ空気の向こうに
一の越が見える。
すぐそこにあるように見えて
なかなか届かない。
なかなか届かないようだけれど
一歩ずつ確実に近づいて行っている。
そんな感覚が、なんとなく楽しい。
それは、
何十ページもあったと思っていた問題集の残りが
あとわずかになっていくようであり、
毎日10円ずつこつこつ貯金してきた貯金箱の重さが
どんどん手応えを増していくようでもあり、
細かい部品ごとに組み立ててきたプラモデルが
一つ一つ結びついていって形が見えてきたときのようでもあり。。。
そんな思いにひたりながら休憩をしていると
すぐ横に素敵なおばあちゃんが腰を下ろされた。
その表情には、山歩きが楽しくてならない、
という思いにあふれていた。
私たちの、疲労度を示すメーターのような面持ちとは
大きく違う!
思わず「お元気ですね」と言葉が口に出てしまった。
(失礼なご挨拶になってしまったと今になって思う。)
そこから、しばし、会話がはずむ。
「元気ってことはありませんよ。もう80歳です」
「え!!」
(驚きで声にならない)
「毎年登っているんです」
「え!!」
(驚きでたたみかけられる)
「あちこちの山もずいぶん行きました」
「はあ。。。」
(ようやく少し落ち着いて話がきける)
「今日は、一の越までですか?
雄山の頂上までですか?」
「頂上まで行きますよ。
ぜひ行きたいと思っているんですけどね。。。」
「私たちの若い時分は戦争でねえ。
20歳で嫁いで、青春なんてなかった。
今が青春みたいなものなんです。。。」
「でも、だんだん一緒に行く仲間も少なくなって、
立山はこれで最後にしようと思って。。。」
あまりの健脚ぶりに
その言葉は、私にはご謙遜としか受け止められないのだが、
それよりも何よりも
山の途中で足を止めている自分たちに
いくつもの山(人生の山も)を極めてこられたその高見から
さわやかな風を注いでもらったような気がした。
心の底からエネルギーをもらったそんな休憩時間となった。
… 続きを読む...
バスは室堂に到着した。
目の前には雄々しい山肌の大パノラマ。
天気は快晴。
その上、風もなく、視界良好。
照りつける真っ白い日差しに
ひんやりとした空気が心地よい。
宿に荷物を預けるため、
室堂平周辺を横切って歩く。
一の越、雄山山頂がくっきりと見える。
歩きながら、つい立ち止まり
体を360°回転させてみたくなる。
目に飛び込んでくる全てのものに
何度も言葉を失いながら、
本当に、
こんな世界が広がっている所があるのだと
自分に言い聞かせている。
荷物を預け、いよいよ、出発。
一列になって山頂を目指した。
途中、すれ違う登山者と
「こんにちは」
「こんにちは」
と交わすあいさつが元気をくれた。
雪渓にさしかかると、
気持ちを引き締め、
足元に集中して踏みしめて歩いた。
ちょろちょろと
雪解け水が流れているのを見つけると、
しゃがんで手を伸ばした。
そして、休憩地点。
笑顔が広がる。
水筒を取り出し、
飴をほおばり、
汗をふく。
次第に、別世界にとけ込んでいく自分たちがいた。
(つづく)
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久しぶりに校舎に子供たちの声が響く。
みんな元気そうだ。
なんだか一人一人の顔つきが大人びたように感じる。
それは、きっと、気のせいだけではない
さっそくセミナーが始まる。
暑さのせいか、
何日ぶりかで大きな声でしゃべり続けたせいか、
途中から声がかすれていくし、
うまく口も回らなくなった。
みんなにとっては
さぞ、聞きづらいセミナーだったろう。
1コマ目が、担任によるセミナー。
2コマ目が、隣のクラスの担任によるセミナー。
合わせて8枚のプリントに、
みんなは、汗を流しながら取り組んでいた。
全4回のセミナーが終わる頃、
プリントは25枚くらいになる予定。
今日から、各自でファイルしていくことになっている。
連絡
宿題 :10の課題
持ち物 :10の課題の中で終わった物から提出してもよい。
お知らせ:あさってから宿泊学習。
例年より、積雪が多いという。
一の越まで、雪渓は通常2〜3カ所だが、それ以上ある可能性あり。
地獄谷への階段にも積雪が残るため、散策ルートも変更の可能性あり。
荷物は整いましたか?
雨カッパは必需品。上下分かれているものがよい。すぐに破けそうな簡易カッパは不向き。… 続きを読む...
夏休み10の課題(確認)
1 「夏のチャレンジ」1冊 (旧「夏休みの友」)
* 一日で全部やってしまえるかもしれませんが、毎日少しずつ計画的に取り組みましょう。
2 応募作品1点以上
*応募作品一覧表の中から1つ以上選ぶ。作品の裏に出品表や応募票を貼ること。
*興味のある内容を選んで作品を仕上げて下さい。
3 自由研究1点(学校で配布した専用のB4用紙1枚〜数枚程度)
*例:理科的なテーマ「よく飛ぶ紙飛行機のひみつ」「ぼくの星空観察法」など
<動機・ねらい・方法・調べたこと・考察・まとめ> 図やグラフなども活用して
例:社会的なテーマ「富山城趾の歩き方」「私が選ぶ富山遺産100」など
<動機・ねらい・方法・調べたこと・考察・まとめ> 写真や資料なども活用して
例:工作的なテーマ「竹とんぼ作り」「自作エプロンに挑戦」など
<動機・作り方・苦労したこと・工夫したこと・まとめ> 実物や設計図も活用して
4 パワーアップ<5年生書き込み>ほぼ全部終了
* 詳しいページ割りについては、別紙「6年生夏休みの計画表」を参照してください。
* 夏休みの共通目標は「5年生の学習をしっかりと完ぺきに身につけること」です。
* 夏休み明け(8/28… 続きを読む...
今日、小さな小包大の箱に
大量の写真が届く。
お世話になっている写真屋さんが、
卒業アルバムに載せるものを選んでほしいと
届けてくださったものだ。
5年生の頃の写真が中心。
近年は、
アルバムに載せられなかった写真でも、
CD-ROMに追加して載せられるようになった。
連絡
宿題 :パワーアップ(算数)
計算大会練習プリント
漢字大会再テストの練習(範囲は同じ、問題は異なる)
持ち物 :荷物を持ち帰る大きめの袋
お知らせ:卒業アルバムに使用する写真借用のお願い
(1〜4年生の行事、スナップなどで、
卒業アルバム用に借用できる写真をお借りできないでしょうか。
詳細は、配布のプリントをご確認ください)
下校時間の確認… 続きを読む...