再会

観察池の掃除は、いよいよ大詰め。
残るは、汚れのひときわひどい池。
手を入れるのもためらってしまいそうになるが、
意を決して、少しずつ作業を進めた。

バケツで何杯も水をぬき、
心なく投げ込まれた石やブロックを取り除く。

これまで放置されてきたゴミを廃棄し、
そこにからまる大量の藻も同時にすくう。

水はどす黒くにごり、
ヘドロは生き物たちの侵入を拒むように堆積していた。

と、水深が数センチになってきたところで、
なにやらぴちぴちとはねるものがあった。
手を伸ばすと、それはギンブナだった。
救い上げて、きれいな池に移してやる。

すると、また、ぴちぴちとはねるものが。
今度は、ドジョウとシマドジョウとタモロコだった。

こうして、ギンフナ7匹、ドジョウ5匹、
シマドジョウ2匹、タモロコ1匹を別の池に移動した。

この魚たちは、きっとあの時の魚たちに違いない。
そう、3年前の、あの魚たち。

水が涸れそうになったり、
カラスにねらわれそうになったり、
ゴミや小石の投棄にあったりするなどの
過酷な環境の中でも、
なんとか耐え抜いてきたようだ。

観察池の
もっとも汚れのひどい部分の
水や石やブロックやゴミや藻やヘドロを掻き捨ててきた
その最後の水深数センチのところで、
思いがけず再会できた魚たち。

この魚たちは、一体、何を語るためにその姿を見せたのか。

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持ち物 :生活科バック
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お知らせ:

追記
カブトムシ小屋のカブトムシの幼虫たちとも、
久しぶりに再会した。
ある日、当時の高学年児童から教室に幼虫が届けられ、
以来、クラスの有志で育ててきたカブトムシだ。
こちらは、途中で、当時の子供たちの手によって、
飼育ケースから、より広い飼育小屋へと引っ越しを果たしている。
より自然に近い状態のせいか、
今も気持ちよく過ごしているように見えた。
幸い、3の1にも、昆虫大好きキッズがいて、
さっそく、今後の飼育を名乗り出てくれた。
やはり、後継者がいるというのは心強い。…
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動くところが見たかった

理科。
今日は影のでき方について。

影のでき方は知っているよ、とみんな。

太陽があればいいよ。
太陽でなくても電気が当たればいいよ。
光の反対側にできるよ。
光をじゃまするものも必要だよ。

さっそく、外に出て、影を作る。

まずは、影絵遊び。
太陽を背にしながら、
それぞれ指で影絵を作る。

イヌ、ハト、カエル、目の玉、ハート型。。。
地面をキャンパスに、様々な影絵ができた。

続いて、影踏み遊び。
みんなで中庭を駆け回った。
鬼になった二人はなかなか影を踏めないで悪戦苦闘。
それもそのはず。
時間はお昼の12時をちょうど回ったころだった。
太陽高度が高く、みんなの影は短かったのだ。

一汗かいたところで、
今度は、ラインカーでいろんな影の淵ををなぞる。
樹木の影や、
ジャングルジムの影や、
電信柱の影を、
次々とラインカーでなぞっていった。
あっと言う間に、
中庭には、意味不明な白い線があちこちにできた。
そこで1回目の理科の時間が終わった。

給食を食べ、昼休みを過ごし、掃除を終えた5時間目。
みんなは2階のベランダに出て、
上から、先ほど描いた意味不明な白線を眺めた。
見事に、白線と影とがズレていた。

あれ?線が動いたのかなあ。
そんなはずはないよ。
影が動いたんだよ。
地球が回っているからだよ。
太陽と地球の位置が違ったからだよ。

中でも、電信柱の影が大きくズレていることに
みんなはおどろいた。
影のちょうど反対側に太陽があることも確認した。
そこで、ある子がつぶやく。

この影は、まるで時計の針みたいだね。

みんなは、その声の意味がすぐにわかった。
それは巨大な日時計になっていたのだった。

だったら、帰りの会が終わった頃には、
もっとこっち(3時の方向)に影が動いているはずだ!
先生、あとで見に来ようよ。

そう約束して教室に戻った。

帰りの会が終わり、
下校する子供たちの数名が、
「日時計」を見に集まった。

わあ、すごい、影がこんなに動いている!
あ〜あ、私、動いているところが見たかったなあ。。。
うん、私も、動いているところが見たかった。

影が動くところを見ることができないのに、
影は確実に動いている。

影は常に止まることなく動いているはずなのに、
影が動いていることを実感する機会のなんと少ないことか。

あ〜あ、私、動いているところが見たかったなあ。。。

なんて素敵な言葉だろう。

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     漢字の学習
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生まれて初めてできた

今日は、チャレンジ3015を配布する。

手にした冊子を見ただけで、
「はやくやりたい」
「ぼく、これならできるよ」
「わたし、ブリッジできるよ」
「今年もバッチをもらうよ」
と俄然はりきるのが、
この年代にだけ現れる純粋な持ち味。

大した動機付けや目標設定の場も準備せず、
だた冊子を「配布」するだけのことで、
その代わりにしようとしていた担任の姿勢は
大いに反省しなければならないが、
それでも、
冊子が「配布」されたというたったそれだけのことを
これからの運動に対する絶好の「契機」としていく
ことができるみんなだった。

さっそく、外に出てポイントを集めた。
ジャングルジム○点、
登り棒○点、
おにごっこ○点。。。。

そんなみんなと言葉を交わしつつ、
ふと、鉄棒に取り組む数名の子たちの場所に立ち寄った。
さかあがりに挑戦中だった。
あともう少しでできそうなところまできていた。
見ると、自分のハチマキをはずして背中にまわし、
その両端を両手でもって、そのまま鉄棒を握っていた。
(おもしろい工夫をしているなあ)
と思って見ていると、突然、目の前で、
(えいっ)(ぐるん)
「あ、できた!生まれて初めてできた!」
その場にいた仲間みんなで祝福した。

今日のチャレンジ3015の配布によって、
みんなは3015点を目標にして歩み出した。
子供たちは、日々、得点を重ねていくだろうが、
その得点の中の何点かには、
点数に換えがたい得点もあるのだということにも
思いを馳せられるようでありたいと思った。

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宿題  :日記(21〜30)
     漢字の学習
持ち物 :習字道具(必ず)
お知らせ:チャレンジ3015を配布しました。
     2年間使用しますので、保管してください。

追記
ただ「配布」するだけで子供の追究動機を生むだけの魅力が
チャレンジ3015にはあるということでもある。
この編集に携わった方々の熱意にただただ感服するものである。…
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大声援

がんばれ〜
もう少し〜
フレーフレー3番!

教室が、大声援で包まれた。
一体、この声援の先には何があったのか。

それは、一本の風車だった。

これまで風車の力比べに
夢中になって取り組んできた子供たち。
羽が中心に集まっている風車(1番)と
羽を中間に移動させた風車(2番)と
羽が中心から離れたところにある風車(3番)と
どれが一番力持ちなのかが、
子供たちの最も気がかりなことだった。

子供たちは、これまで
各自の手作り風車で実験と記録を重ねてきた。
最初は、
クルクルとよく回るように見える1番の風車が力持ちだろうと考えた。
ところが、その予想と反する事実が、
やがて、子供たちの心をとらえ始めていった。
なんと、
回りにくそうに見える3番の風車がぐいぐいとおもりを巻き上げていくのである。
子供たちの実験では、
どうやら3番が一番力持ちらしい、
というところまで分かりかけていた。

あるグループは110gまで持ち上がったという。
あるグループは280gまで持ち上がったという。
あるグループは500gまで持ち上がったという。

子供たちは、互いの結果を見比べて、
どれが本当の力なのか、真実を確かめたくなっていた。

そこで、教室に1つの風車をセットし、
少し離れたところに扇風機をセットし、
電子上皿天秤とおもり(小石)をセットし、
黒板には記録を書き込んでいく表をセットし、
科学的に事実と向き合い、
科学的に事実を整理していくことにした。

最初に登場したのは1番の風車。
記録90gで、風車の動きが止まった。

続いて登場したのは2番の風車。
記録120gで、風車の動きが止まった。

最後に登場したのは3番の風車。
みんなの期待が一気に高まる。
120gは、軽々と持ち上げた。
130gでも、羽の回転は止まることはなかった。
140gになっても、風車はおもりを何とか持ち上げた。
150g、160g。。。。

1番も2番も3番も、
どれも同じ風の強さを受けている風車であるはずなのに、
そこから生まれる力には、こんなにも違いがあるなんて。

子供たちはカードにこう書いた。
速く回るけど、力がない1番の風車。
遅く回るけど、力がある3番の風車。

がんばれ〜
もう少し〜
フレーフレー3番!

教室が、大声援で包まれた。
この声援の先にあったのは、一本の自作風車だった。
40人の視線が集中していたのは、風車のもつ見えない力だった。
心の辞書に刻まれたのは、エネルギーという新たな概念だった。

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宿題  :日記(11~20)
     算数プリント
     漢字ミニテストの勉強
持ち物 :
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顔に書いてある

3の1なかよしカップ。
今日の種目はリレー。
すでにリレー対戦は終えているものと思うところだが、
「3の1なかよしカップ」として行うのは、
意外にも初めて。

リレー対戦の1回戦。
結果は、青黄赤白。

リレー対戦の2回戦。
結果は、赤青黄白。

熱戦を終えたみんなが集合した。
はあ、はあと息を整えながら、
しばらく、リレー談義が続いた。

と、その中でこんな会話が交わされた。
「やったね、赤団」
「1位、おめでとう」
「よかったね」

このことがどんな意味を持つのかがわかるのは、
きっと、3の1の40人だけだろう。

担任も思わずうれしくなって、赤団の子に確かめる。
「今の友達の言葉、聞いた?」
「ねえ、今の気持ち、どう?」

赤団の子「。。。。。。。。。。。。」(ニヤニヤ)
赤団の子「。。。。。。。。。。。。」(にや〜にや〜)
赤団の子「。。。。。。。。。。。。」(にやりにやり)

他団の子「なに、笑ってばっかりおんがけ?」

反応なし?
いやいや、反応なしどころか、
とってもわかりやすい反応であふれていた赤団だった。

(とってもうれしいよ!)
(みんな祝福ありがとう!!)
(やっと1位になれたよ〜!!)
そんな言葉が、ちゃんと顔に書いてあった。

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宿題  :日記(1〜10)
     国語プリント
     国語カラーテストあり
    (国語プリントをすることがテスト勉強にもなる)
持ち物 :
お知らせ:更衣期間(〜6/5まで)…
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