先日、N小学校での取り組みに学んできました。
春に引き続き、2回目の訪問をさせていただきました。
御校は、ふるさとに潜在するさまざま「もの、人、こと」を
見事に教材化して、子どもの学びへとつないでいるところが圧巻です。
地元のお祭り、花火、特産品はもとより、
来県者数のデータや校章、民話までもが、
各教科等の学びを深める教材として磨き上げられています。
(校長先生自らも、自然素材や歴史財産をどんどん掘り起こされる
教材研究の達人でいらっしゃいます。)
この日、中心的に提案されたのは第6学年の授業でした。
地元で古くから栽培されてきたカリンの加工品を扱っていました。
その加工品作りに携わる人々の思いに触れる、
というのが本時の山場です。
考えさせられたのは、この「携わる人々の思い」とは何か、です。
普通ならきっとこう考えるところでしょう。… 続きを読む...
第55回日本初等理科教育研究会全国大会が
富山で開催されました。
午前には、生活科、理科の6つの授業が提案され、
それぞれの部会で子どもの姿をもとに活発な議論がなされました。
私が参加した小学校第3学年部会は
「磁石」の単元の学習でした。
自由な試行活動を軸にものと十分にかかわりながら
磁石につくもの、つかないもの、N極やS極があることなどを学んだ子どもたちが
しだいに「磁化」にかかわる部分にふれいていく場面でした。
磁石に鎖状につながるクリップを自慢げに紹介する中で、
(そのクリップは)「そりゃあ、S極についたのはS極になったんだよ」
というつぶやきを契機に
「え?S極につくのはN極だから、クリップはN極じゃないかな?」
「ん?わからなくなってきた」
と小さな疑念の渦が徐々に大きくなっていきました。
新たな問いが生まれた瞬間です。
実は、この仕組みがこれまでよくわからなかったのです。
(今もよくわかっていない)… 続きを読む...
先日、富山大学附属小学校の授業研究会に参加してきました。
小学校第6学年「水溶液の性質」です。
提案点は非常に興味深いものでした。
塩酸に溶けたアルミニウムは、
化学変化の結果、違う性質の物となっています。
そこまでは、通常の授業の通りです。
今回、授業者が視点を当てたのは、
塩酸の方でした。
化学変化ですから、
それは、両者の相互作用で進むもの。
今回の提案授業は単に変化の前後の理解を深めるというよりは、
化学変化という概念の形成をねらった授業でした。
その局面は、実際は次のような言葉で出てきました。
「塩酸の力は残っているの?」
塩酸はアルミニウムを小さくしていった。
塩酸がアルミニウムに入っていった。
水素と一緒に出て行った。
そしてアルミニウムはおニューアルミになった。
そう考える児童たちが立ち止まったのは、
「だったら塩酸もおニューになったのか」という点。
ここにあらたな「問い」の創造が見られます。
対話によって「問い」が創造されることが
子どもの姿で検証されたのではないかと思いました。
たいへん勉強になりました。
ありがとうございました。… 続きを読む...