もしかすると、
あれは夢だったのか。。。
つい、そう思ってしまいそうな光景がいくつかある。
それらを書き留めていくシリーズの14回目。
(14)コケボウズ
スカルブスネスにある仏池の底にすむコケボウズ。
高さ80cmほどの塔のようなコケ等の集合体。
その成長速度は1年に0.7mmと極めて遅く、
そこまで成長するのに少なくとも300年はかかるという。
実際に手に取って顕微鏡で見てみると
緑色の小さな芽のようなものが見えた。
そのわずかな緑の息吹に
極限の世界でも着実に生きようとする生命力を感じたあの光景。
もしかすると、
あれは夢ではなかったのか。。。”… 続きを読む...
昭和基地には新聞はもちろん届かないから、
それならば自分たちで発行しようということで、
毎次隊ごとに新聞を発行している。
54次隊は「ごしっぷ新聞」というのを作っている。
(ここまでは以前の「南極兄弟」でもご紹介した通り)
越冬交代の2月1日が第1号で、
私が昭和基地を離れたのは2月13日だったから、その日の新聞で第13号だった。
この1〜13号の間に、3度も関わらせていただいたことはまさに光栄の一言。
1度目は、自由原稿の寄稿。
2度目は、「南極授業」を終えてというテーマで寄稿。
3度目は、なんと自分が編集者として自ら取材して、自ら記事を執筆して発行。
特に3度目は、編集長のM隊員には大変なお力添えをいただき深く感謝。
以下、3度目の記事の一部。“… 続きを読む...
今、南極大学が開講している。
毎回が一流の講師陣の特別講義なので会場はぎっしりと埋まる。
そんな南極大学は往路では「しらせ大学」という名で開講していたが、
復路2日目の南極大学で、考えさせられる話題があったのでご紹介。
まず、このタイトルがいい。
「昨年の昭和基地は、寒かったのか、あたたかかったのか」
(越冬隊の方が講師だったので、昨年=2012年2月〜2013年1月までのこと)
この謎めいた問いから講義はスタートする。
講義では、次々と気象データの事実が紹介されていく。
気温の推移のグラフだったり、
この寒さは歴代〜位というランキングだったり、
実際の写真だったり、
見ていても飽きないような工夫がちりばめられている。
例えば、
5月(南極では秋)にー40℃以下を記録(5月としては19年ぶり)。
9月(南極では冬)にー43℃を記録(史上2位)。
そうかと思えば、1月(南極では夏)の平均気温が+0.8℃(史上2位)。
しかも12月22日の雨は9年ぶり、史上3回目。
この事実の比較だけでも、
「寒かったのか、あたたかかったのか」がますます謎めいてくる。
しかも、気温の高低差の52.5℃は、なんと史上1位だときた。
地球温暖化が叫ばれている昨今、
気温が上昇していることだけで「温暖化」とは言えない。
「温暖化」の影響は、むしろ地球の一部では降雪量の増加として現れたり、
海水温の低下として現れたりするという。
昭和基地における、この気温の高低差の拡大もそのひとつなのだろうか?
今後の南極の観測から、ますます目が離せない。“… 続きを読む...
もしかすると、
あれは夢だったのか。。。
つい、そう思ってしまいそうな光景がいくつかある。
それらを書き留めていくシリーズの11回目。
(11)スカルブスネスの実験室
野外に出ればその場所に理科室兼実験室が出来上がった。
これは、スカルブスネスの観測拠点小屋の前に作った即席実験台。
ここには立派な機材などない。
その実験台の主も決して立派な人物ではない。
だが、この実験室は地球の端にあり、
地球の端で見つけたものを直に観察することができる実験室だった。
時折、ナンキョクオオトウゾクカモメが飛来したり、
日中の日差しで緩んだ海氷が動き出す音が響いたりしたあの実験室の光景。
もしかすると、
あれは夢ではなかったのか。。。”… 続きを読む...